ネドじゅんさんの「自動思考が消えた」とは?『左脳さん、右脳さん。』と頭の中のおしゃべり

何もしていないのに、頭の中で勝手におしゃべりが始まることってありませんか?

例えば、晩ごはんを作っているとき。

野菜を切っていたはずなのに、気がつくと、

「さっきの言い方、変だったかな」

「明日の仕事、面倒だな」

「そういえば、あの人から返信が来てないな」

……なんて、まったく別のことを考えている。

別に今、それを考えようと思ったわけでもないのに(笑)。

しかも、気づいたら10分くらい経っていたりします。

目の前ではキャベツを切っているのに、頭の中では昨日の反省会と明日の作戦会議が同時開催。

なかなか忙しいものです。

でも、ここで一つ、不思議なことがあります。

もし、この頭の中のおしゃべりが突然なくなったら、どうなるのでしょうか?

そんな体験を語っているのが、『左脳さん、右脳さん。』の著者、ネドじゅんさんです。

ネドじゅんさんは、2016年に頭の中の思考の声が突然途切れ、その後、意識のあり方が大きく変化したと説明しています。

いったい、何が起きたのでしょうか。

そもそも、私たちの頭の中のおしゃべりは、なぜ勝手に始まるのでしょう。

そして、そのおしゃべりと、私たちが感じる苦しさには、どんな関係があるのでしょうか。

今回は、ネドじゅんさんの体験と考え方、左脳・右脳についての脳科学の知見を整理しながら、人間の認識と反応の仕組みを見ていきます。

目次

ネドじゅんさんとは?『左脳さん、右脳さん。』の著者

ネドじゅんさんは、自身の意識変容の体験をもとに、思考と意識について発信している著者です。

大阪出身で、イラストレーション、広告デザイン、出版編集、イベント企画などの仕事を経験してきたそうです。

代表作は、2023年にナチュラルスピリットから出版された『左脳さん、右脳さん。あなたにも体感できる意識変容の5ステップ』。

タイトルだけでも気になりますよね。

左脳さんと右脳さん。

まるで頭の中に二人の登場人物が住んでいるようです(笑)。

ネドじゅんさん自身の説明によると、2016年のある日、突然、頭の中から思考の声が消えたそうです。

そして、その日をきっかけに、意識のあり方が変化していったと語っています。

本人は、この状態を「悟り」や「右脳意識」という言葉を使って説明しています。

また、この体験から得た理解を、ほかの人にも体験してもらうために、独自の方法を紹介しています。

それが「オカン・メソッド」です。

「特別な修行をした人ではなく、普通のオカンにも起きた」という親しみやすい語り口も、ネドじゅんさんの特徴でしょう。

2024年には、KADOKAWAから『2か月で人生が変わる 右脳革命』も出版されています。

ここでも、自動思考を静めることや、本人が「右脳意識」と呼ぶ状態について説明されています。

参考:

「自動思考が消えた」って、どういうこと?

さて、まず気になるのはここです。

思考が消えたら、何も考えられなくなるのでしょうか?

例えば、スーパーで買い物をしているとします。

「今日は何を作ろうかな」

「卵がなかったよね」

「そういえば、お米も買わなきゃ」

こんなふうに考えることは、普段の生活に必要ですよね。

もし考える働きがすべてなくなってしまったら、なかなか困りそうです。

でも、ネドじゅんさんが語っているのは、考える能力を失ったという話ではありません。

本人が「自動思考」と呼んでいるのは、頭の中で意図せず流れ続ける、独り言のような思考です。

例えば、料理をしているとき。

「次は玉ねぎを切ろう」

と考えることがあります。

これは、今している作業に必要なことを考えています。

ところが、同じ料理中でも、

「昨日のあの人の態度、なんか嫌だったな」

と思い浮かぶことがあります。

さらに、

「もしかして、私のことを嫌ってる?」

「明日もあんな態度だったらどうしよう」

なんて、どんどん話が進んでいくこともあります。

最初に考えようと思ったわけでもないのに、いつの間にか頭の中で話が展開している。

ネドじゅんさんは、こうした自動的なおしゃべりが途切れたという体験を伝えています。

そして、頭の中のおしゃべりが静まったことで、今この瞬間の感覚や、安心感などを強く感じるようになったと説明しています。

ここで面白いのは、「考えること」と「勝手に考えが浮かぶこと」が、本人の説明の中では区別されている点です。

ただし、この「自動思考」という言葉は、ネドじゅんさんの説明体系で使われている意味を踏まえて理解する必要があります。

心理学や脳科学の専門用語と、必ずしも完全に一致するわけではありません。

なぜ「左脳さん」「右脳さん」と呼ぶの?

ネドじゅんさんは、自身の体験を説明するときに、「左脳さん」と「右脳さん」という表現を使っています。

本人の説明では、おおまかに、

「左脳さん」は、頭の中で考え続ける働き。

「右脳さん」は、今の体験や安らぎ、生命感覚などに関わる意識。

というように位置づけられています。

頭の中で、

「さっきのこと、どうしよう」

「明日は大丈夫かな」

「もっとちゃんとしなきゃ」

とおしゃべりし続ける左脳さん。

一方、目の前の景色や身体の感覚を、今ここで受け取る右脳さん。

こうして二人のキャラクターとして考えると、たしかにイメージしやすいですよね。

そしてネドじゅんさんは、考え続ける状態から、本人が「右脳意識」と呼ぶ状態へ移行することについて説明しています。

では、実際の人間の脳も、そんなふうに二人で役割分担しているのでしょうか。

脳科学でも「左脳は思考、右脳は幸せ」なの?

人間の脳には、左半球と右半球があります。

そして、左右の大脳半球には、得意とする働きに違いがあることが知られています。

例えば、言葉を理解したり、話したりする機能には、多くの人で左半球が強く関わっています。

また、空間的な情報の処理などでは、右半球が重要な役割を持つものもあります。

では、

「左脳は思考担当」

「右脳は幸せ担当」

と、きれいに分けられるのでしょうか。

実は、そんなに単純ではありません。

言語や感情、注意、記憶、思考など、人間の複雑な働きには、左右両方の脳や複数のネットワークが関わっています。

「左脳型の人」「右脳型の人」は本当にいるの?

よく、

「この人は左脳型だから論理的」

「あの人は右脳型だから直感的」

といった説明を聞くことがあります。

でも、実際に脳を調べると、そんなふうに単純に分類できるのでしょうか。

2013年、Nielsenらは、1,000人以上の安静時の脳画像データを使って、左右の脳の機能的なつながりを分析しました。

その結果、個人の脳全体が一貫して「左脳優位型」「右脳優位型」に分かれるという考え方を支持する証拠は得られませんでした。

もちろん、左右の大脳半球に機能の違いがないという意味ではありません。

左右差はあります。

ただし、それをそのまま、人格や幸せの感じ方についての単純な分類に当てはめることはできないということです。

参考:Nielsenら(2013)左右の脳の優位性についての研究

では、ネドじゅんさんの体験は間違いなのでしょうか。

ここでも、ちょっと分けて考えてみたいことがあります。

本人が「頭の中の声が消えた」と体験したこと。

そして、

その体験が、脳のどのような仕組みによって起きたのかという説明。

この二つは、同じではありません。

本人の体験を本人の言葉として理解することはできます。

一方で、その体験が脳の左右の働きによって説明できるかどうかは、別途検証が必要です。

体験についての話と、体験が起きた理由についての話。

考えてみれば、これは日常でもよく混ざりやすいものですよね。

例えば、「あの人に会うと疲れる」と感じたとします。

疲れたという体験があったことと、なぜ疲れたのかという説明は別です。

「相手の波動が悪かったから」と説明する人もいるかもしれません。

でも、それが実際の原因かどうかは、また別の問題です。

……人間は、何かを体験すると、その理由も知りたくなるものですね(笑)。

自動思考は、脳科学でも研究されているの?

さて、ここで少し脳科学の話をしてみましょう。

私たちの頭には、意図して始めたわけではないのに、自然に考えが浮かぶことがあります。

例えば、

歩いているときに、突然、昔の出来事を思い出す。

仕事中なのに、次の休日のことを考え始める。

窓の外を眺めていると、いろいろな考えが浮かんでくる。

こうした現象については、心理学や脳科学でも研究されています。

マインドワンダリングとは?

「マインドワンダリング」という言葉があります。

これは、目の前の作業とは関係のないことに、注意や思考が向かっていくような現象です。

例えば、本を読んでいたとします。

文字を目で追いながら、気がつくと明日の予定を考えている。

そして、ふと気づく。

「あれ? 今、何を読んでたっけ?」

……ありますよね(笑)。

読んでいたはずの文章が、まったく頭に入っていない。

こうしたことも、マインドワンダリングの例です。

デフォルト・モード・ネットワークとは?

脳科学では「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」という脳のネットワークも研究されています。

これは、安静時や内面的な思考をしているときなどに関わる、複数の脳領域からなるネットワークです。

ただし、「何もしていないときに働く脳の場所」という単純な説明だけでは十分ではありません。

例えば、自分について考えたり、過去の経験を思い出したり、未来を想像したりするときにも関わることがあります。

また、自然に浮かんでくる思考は、このネットワークだけで作られているわけでもありません。

2015年に発表されたFoxらのメタ分析では、マインドワンダリングなどの自発的思考に、デフォルト・モード・ネットワーク以外の脳領域も関わっていることが報告されています。

つまり、私たちの頭の中のおしゃべりは、脳の一部分だけが単独で作っていると説明できるほど単純なものではないのです。

参考:Foxら(2015)自発的思考とマインドワンダリングの脳画像研究

自動的に浮かぶ思考は、悪いものなの?

ここで、もう一つ面白いことがあります。

自然に考えが浮かぶことは、必ずしも嫌なことばかりではありません。

例えば、散歩中に突然、新しいアイデアが浮かんだ。

何気なく聞いた言葉から、以前わからなかったことがつながった。

昔の楽しい出来事を思い出して、思わず笑ってしまった。

こんな経験もあるでしょう。

つまり、考えが勝手に浮かぶことそのものが、必ず苦しさを作るわけではないのです。

では、なぜ、同じように頭に浮かんだ思考でも、楽しいものと苦しいものがあるのでしょうか。

この違いも、なかなか面白そうですよね。

思考そのものと、そこに付けた意味は同じ?

例えば、仕事から帰ってきたとします。

家でお茶を飲んでいたら、突然、昼間の出来事を思い出しました。

「あの人、なんであんな言い方をしたんだろう」

最初は、ただ出来事を思い出しただけかもしれません。

でも、そこから、

「私のことを嫌っているのかな」

「明日も同じ態度だったら嫌だな」

と考え始めたとします。

さて、何が起きているのでしょう。

まず、昼間に何かがありました。

今、その出来事を思い出しています。

そこに、

「嫌われているのかもしれない」

という意味が加わります。

さらに、

「明日も嫌な思いをするかもしれない」

という未来の予測が生まれます。

すると、今は家でお茶を飲んでいるだけなのに、なんだか落ち着かなくなってきます。

せっかく仕事が終わっているのに、頭の中では残業が始まっています(笑)。

でも、ここでちょっと確認してみましょう。

今、その人は目の前にいるのでしょうか。

今、その人から嫌なことを言われているのでしょうか。

そうではない場合もありますよね。

今、起きていることの中には、過去を思い出し、未来を予測し、そこに意味を付けているという働きがあります。

そして、その働きによって、今の体感まで変化することがあるのです。

そとがわメソッドでは、こうした人間の認識の仕組みを観察していきます。

まだ何も起きていないのに、なぜ苦しくなるの?

ここで、少しだけ先ほどの話を広げてみます。

例えば、

「明日の仕事、嫌だな」

という考えが浮かんだとします。

そして、

「またあの人と話さなきゃいけない」

「何か言われるかもしれない」

「失敗したらどうしよう」

と考えているうちに、胸が苦しくなったとします。

さて、ここで何が起きているのでしょう。

まだ明日にはなっていません。

明日の仕事は始まっていません。

何か嫌なことを言われたわけでもありません。

でも、今、苦しくなっています。

不思議ですよね。

もちろん、実際の身体の不調や環境の問題が関わっていることもあるでしょう。

ただ、過去の記憶や未来の予測が、今の体感に関わっている場合もあります。

ここで、一つ面白いことが見えてきます。

今、苦しいと感じていることと、今この瞬間に苦しい出来事が起きていることは、必ずしも同じではないのです。

そして、さらにもう一つ。

その苦しさには、単なる記憶や予測だけでなく、それをどのような意味で受け取っているのかが関わっていることもあります。

例えば、

「また嫌われるかもしれない」

という予測に、

「嫌われたら困る」

「居場所がなくなるかもしれない」

「自分に問題があると思われたくない」

といった意味が加わっていたとします。

すると、ただ未来を想像しているだけではなく、自分にとって危険なことが起きるかもしれないと感じているのかもしれません。

では、その危険は、実際に今起きていることなのでしょうか。

それとも、過去の経験や記憶から予測していることなのでしょうか。

そとがわメソッドでは、そうした違いを観察できます。

そもそも、なぜその思考が必要になったの?

さて、ここからが、そとがわメソッドとして特に面白いところです。

「あの人に嫌われているかもしれない」

という思考が浮かんだとします。

そこで、

「そんなこと考えちゃダメ!」

と止めようとすることもできるでしょう。

でも、ここで、もう一つ問いを向けてみます。

なぜ、そのことを考える必要があったのでしょうか?

例えば、嫌われたら困ると思っていたからでしょうか。

相手との関係を失いたくなかったのでしょうか。

また嫌な思いをすることを避けたかったのでしょうか。

あるいは、自分が傷つかないように、先に危険を察知しようとしていたのかもしれません。

もちろん、どんな認識が関わっているのかは人によって違います。

でも、もし何かを危険だと判断して、その危険を避けるために考える必要が生まれていたとしたら、どうでしょう。

思考は、ただ意味もなく自分を苦しめようとして現れたわけではないのかもしれません。

自分を守ろうとする働きが関わっていた可能性があります。

例えば、

「次は同じ失敗をしないように」

「大切なものを失わないように」

「嫌な思いをしないように」

そんな必要があったのかもしれません。

そう考えると、頭の中で何度も同じことを考えている自分に対して、

「なんで私は、こんなに余計なことを考えるんだろう」

と否定する必要があるのでしょうか。

そとがわメソッドでは、思考を止める前に、なぜその思考が必要になったのかを知ることができます。

思考を問題として扱う前に、その思考が生まれる仕組みを見るわけです。

「思考を止めなきゃ!」と思うと、思考が増える?

ところで、ここでちょっと面白いことがあります。

「頭の中のおしゃべりを止めよう!」

と思ったとします。

そして、静かに座ってみます。

ところが、

「あれ? まだ考えてる」

「もっと集中しないと」

「どうすれば止まるんだろう」

と、次々に考えが浮かんできます。

……思考を止めようとしていたのに、思考が増えている気がしますね(笑)。

実は、これは身近なところでも起きることがあります。

例えば、

「今から、白いクマのことを考えないでください」

と言われたらどうでしょうか。

なんだか、白いクマが思い浮かびませんか?

考えないようにしようとしたことで、むしろその対象が意識に上がってくることがあります。

心理学では、こうした現象について「思考抑制」などの研究が行われています。

もちろん、どんな場合でも同じ反応が起きるわけではありません。

ただ、何かを考えないようにすること自体が、さらにその対象を意識させる場合があるというのは面白いところです。

でも、そとがわメソッドでは、もう一つ先まで見てみます。

思考が止まらなかったとき、自分の中では何が起きるのでしょうか。

思考が止まらない自分を、さらに否定していない?

例えば、ネドじゅんさんの本を読んで、

「思考が消えると、幸せになれるんだ!」

と思ったとします。

そして、自分も頭の中のおしゃべりを止めようとします。

でも、しばらくすると、

「また考えてる」

「全然止まらない」

「私はまだできていないんだ」

と感じ始めたとします。

さらに、

「なんで私は、こんなこともできないんだろう」

と考えるかもしれません。

さて、ここで何が起きているのでしょう。

最初は、ただ思考が浮かんだだけでした。

そこに、

「思考があるのは、良くないことだ」

という意味が加わります。

すると、

「まだできていない」

という評価が生まれます。

さらに、

「できない自分はダメだ」

という自己否定が生まれることがあります。

思考が浮かんだことに対して、さらに反応しているのです。

これは、そとがわメソッドでいう二次反応にもつながる仕組みです。

最初の思考だけでなく、その思考をどう捉えたのかによって、新しい苦しさが生まれることがあります。

しかも、「思考を止めたい」という行動そのものが、

「今のままではダメだ」

という意味づけから必要になっていたとしたらどうでしょう。

思考を止めようとすればするほど、

「まだダメ」

「もっと頑張らなきゃ」

という評価が増えていくかもしれません。

……なんだか、思考を止めるために、思考をフル稼働させているような状態ですね(笑)。

ここでそとがわメソッドは、もう一度問いを向けます。

なぜ、思考が止まらない自分はダメなのでしょうか?

そもそも、いつから思考があることが問題になったのでしょう。

それは、本を読んだとき?

誰かの体験談を聞いたとき?

「思考が消えれば幸せになれる」という説明を受け取ったとき?

その仕組みを見ていくことができます。

これは、ネドじゅんさんの考え方を否定する話ではありません。

何かを学んだ人が、その学びを新しい合格条件にしてしまうことがある、という人間の認識についての話です。

→ 考えるのをやめたいのに止まらないのはなぜ?「考えちゃダメ」が増やす苦しさ

「悟りたい」が、新しい不足になることもある?

ここで、さらにもう一つ考えてみましょう。

例えば、

「悟れば、苦しみがなくなる」

という話を聞いたとします。

すると、

「私も悟りたい!」

と思うかもしれません。

それ自体は、とても自然な興味や願望でしょう。

ところが、もし、

「悟っていない私は、まだ不完全なんだ」

「もっと成長しなければいけない」

「この状態では、幸せになれない」

と思い始めたとしたら、どうでしょう。

もともとは、もっと幸せになりたくて学び始めたはずでした。

でも、いつの間にか、

「今の私は幸せではない」

という前提ができているかもしれません。

そして、その前提があるからこそ、悟りや意識変容が必要になっているのかもしれません。

そとがわメソッドでは、こうした仕組みも観察できます。

「何かを手に入れたら幸せになる」という条件は、そもそも、いつ必要になったのでしょうか?

ここで、そとがわメソッドの基本的な考え方につながります。

私たちは、もともと「苦しくない。なんか幸せ」という状態を、初期設定として捉えることができます。

そこに、いろいろな意味づけや防衛反応が重なることで、苦しさが生まれることがあります。

つまり、何か特別な状態を手に入れなければ幸せになれないという話ではありません。

今、何が苦しさを必要にしているのか。

そこを見ていくのです。

ネドじゅんさんと、そとがわメソッドは何が違う?

ここまで読んで、似ているところがあると感じた人もいるかもしれません。

どちらも、頭の中で繰り返される思考と、苦しさの関係に注目しています。

また、自分の中で何が起きているのかに気づくことを大切にしているという共通点もあります。

ただし、中心に置いている問いが異なります。

ネドじゅんさんが伝えていること

ネドじゅんさんは、自身の「自動思考が消えた」という体験をもとに、意識が変容することについて説明しています。

そして、頭の中のおしゃべりを静め、本人が「右脳意識」と呼ぶ状態へ移行するための方法を紹介しています。

オカン・メソッドでは、呼吸や身体感覚などに関わるワークを通して、思考との関わり方を変えていこうとします。

中心にあるのは、自動思考を静めることと、意識のあり方を変えていくことです。

そとがわメソッドが伝えていること

一方、そとがわメソッドでは、思考を消すことや、特定の意識状態になることを目標にしていません。

思考が浮かんだとき、

「なぜ、その思考が必要になったんだろう?」

というところから観察します。

そして、

その思考がどんな出来事や記憶と結びついているのか。

どんな意味づけが生まれているのか。

どんな危険を予測しているのか。

どんな防衛反応が必要になっているのか。

その反応を、さらに自分で否定していないか。

そうした仕組みを見ていきます。

例えば、

「明日の仕事が嫌だ」

という思考が浮かんだとします。

ネドじゅんさんの考え方からは、頭の中のおしゃべりを静めることや、思考との関わり方を変える方法を考えられます。

一方、そとがわメソッドでは、

「なぜ、明日の仕事が嫌だと感じる必要があるのだろう?」

という問いを向けられます。

仕事に、何か危険を感じているのでしょうか。

過去に嫌な経験があったのでしょうか。

明日も同じことが起きると予測しているのでしょうか。

あるいは、今、実際に対応しなければならない問題があるのでしょうか。

こうして、出来事、記憶、予測、意味づけ、反応を分けて見ることができます。

整理すると、次のような違いがあります。

比較する点ネドじゅんさんそとがわメソッド
中心のテーマ自動思考の静まりと意識変容認識・意味づけ・防衛反応の仕組み
主な問い頭の中のおしゃべりから、どう離れるかなぜ、その思考や反応が必要になったのか
アプローチ独自の呼吸法などのワーク出来事と色づけ、一次反応・二次反応などを観察
特定の状態右脳意識への移行を重視特定の意識状態の達成を目標にしない

どちらが正しいとか、どちらが優れているという話ではありません。

似たような人間の経験について、注目する場所が異なるのです。

思考が消えなくても、自分を否定する必要はない

例えば、何年も前に言われた嫌な言葉を、今でも思い出すことがあるとします。

思い出すたびに、腹が立ったり、悲しくなったりするかもしれません。

そして、

「もう終わったことなのに、まだ気にしている」

と、自分を責めることもあるでしょう。

でも、ちょっと考えてみてください。

そもそも、なぜその言葉が、そんなに嫌だったのでしょうか。

何が傷ついたと感じられたのでしょう。

何を失うことが危険だったのでしょう。

何を守ろうとしていたのでしょうか。

そこには、自分でも気づかなかった意味づけや防衛反応があるかもしれません。

そして、その仕組みを知るために、最初から思考をなくしておく必要はありません。

今、思考が浮かんでいる。

今、その思考に反応している。

今、その反応を嫌だと感じている。

その一つひとつを見ていくことができます。

すると、これまで一つの「苦しさ」だと思っていたものの中に、いくつもの働きがあることに気づけるかもしれません。

思考があること。

その思考が危険を知らせていること。

そして、思考がある自分を否定していること。

それらは、同じではありません。

だからこそ、思考そのものを敵にする必要はないのです。

よくある質問

Q. ネドじゅんさんの「自動思考が消えた」とは、どういう意味ですか?

本人の説明では、2016年に頭の中で勝手に続いていた独り言のような思考の声が突然途切れたという体験を指します。

その後、本人は意識のあり方が変化したと語っています。

Q. ネドじゅんさんの代表的な本は何ですか?

代表作は、2023年に出版された『左脳さん、右脳さん。あなたにも体感できる意識変容の5ステップ』です。

2024年には『2か月で人生が変わる 右脳革命』も出版されています。

Q. 左脳が思考を作り、右脳が幸せを感じるというのは科学的事実ですか?

脳の左右には機能の違いがありますが、思考と幸福感を単純に左右で分担できると科学的に確立されているわけではありません。

「左脳さん」「右脳さん」は、まずネドじゅんさんが自身の体験を説明するために使っている枠組みとして理解するのが適切です。

Q. 頭の中で勝手に考えが浮かぶのは、おかしいことですか?

自然に考えが浮かぶこと自体は、人間に見られる一般的な現象です。

心理学や脳科学でも、マインドワンダリングや自発的思考として研究されています。

Q. 自動思考を止めれば、苦しさはなくなりますか?

思考と体感の関係は人によって異なり、思考が静まることで楽に感じる場合もあるでしょう。

ただし、苦しさの原因をすべて自動思考だけに求めることはできません。

そとがわメソッドでは、思考を止めることよりも、その思考や反応が必要になった仕組みに注目します。

Q. そとがわメソッドでは、自動思考をなくす練習をするのですか?

いいえ。

そとがわメソッドは、特定の思考状態を作ることを目的にしていません。

出来事と意味づけを分け、なぜその思考や防衛反応が必要になったのかを観察していきます。

参考資料

関連記事


まとめ|頭の中のおしゃべりが始まったとき、何が起きている?

ネドじゅんさんは、2016年に頭の中の思考の声が突然途切れ、意識が変化したという体験を語っています。

そして、自動思考を静め、本人が「右脳意識」と呼ぶ状態へ移行するための方法を紹介しています。

一方、そとがわメソッドでは、思考が消えることを目標にはしていません。

頭の中で考えが浮かんだ。

そこに意味が加わった。

そして、今の体感まで変わった。

さらに、その思考や反応を自分で否定している。

そんなふうに、一つひとつの働きを見ていきます。

すると、これまで「余計な思考」だと思っていたものにも、何かを守ろうとする必要があったのかもしれないと気づくことがあります。

そして、その必要がどこから生まれたのかを知ることができます。

思考を消さなければ幸せになれない。

反応がなくならなければ、まだ足りない。

そんなふうに考える必要はあるのでしょうか。

そとがわメソッドでは、人間の初期設定を「苦しくない。なんか幸せ」と捉えています。

何かを足して幸せになろうとするのではなく、何がその状態を見えなくしているのかを見ていく考え方です。

思考も、感情も、防衛反応も、人間の中で起きていることです。

それらがなぜ必要になっているのかを知っていく。

そこには、自分を否定する必要がなくなるような発見があるかもしれません。

「また考えてしまった」ではなく、「なぜ、この考えが必要になったんだろう?」

その問いだけでも、人間を見る角度が少し変わりそうですね。

人間の認識と反応の仕組みを、もっと知りたい方へ

同じ出来事が起きても、平気な人と、強く反応する人がいます。

同じ思考が浮かんでも、気にしない人と、苦しくなる人がいます。

では、その違いはどこから生まれるのでしょうか。

そとがわメソッドでは、出来事と意味づけ、一次反応と二次反応、防衛反応が必要になる仕組みを、身近な例から見ていきます。

思考をなくすためでも、無理に自分を変えるためでもありません。

人間がどんなふうに世界を受け取り、どんな反応を生み出しているのかを知るためです。

無料講座では、その仕組みを0時間目から順番に紹介しています。

頭の中のおしゃべりを入り口に、人間の不思議をもう少し覗いてみませんか?

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この記事を書いた人

そとがわメソッド開発者。心理学・自己啓発・潜在意識などを学んでも自己否定が終わらなかった自身の経験から、「自分を変える前に、何が起きているのかを見る」そとがわメソッドを開発。著書『自分を否定しない練習』。
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