考えるのをやめたいのに止まらないのはなぜ?「考えちゃダメ」が増やす苦しさ

夜、布団に入った。

明日は朝から予定がある。

そろそろ寝ようと思って目を閉じたのに、昼間の出来事が浮かんでくる。

「あのとき、ああ言えばよかったかな」

「変なふうに思われていないかな」

「明日、何か言われたらどうしよう」

もう終わったことなのに、頭の中では会話が続いている。

そこで、

「もう考えるのはやめよう」

と思う。

別のことを考えてみる。

深呼吸してみる。

スマートフォンを見て気を紛らわせる。

それでも、また同じことが浮かんでくる。

今度は、

「どうしてこんなに考えすぎるんだろう」

「考えるのをやめたいのに、全然できない」

と、考えている自分まで嫌になってくる。

そんな経験はありませんか。

ここで、少し不思議なことがあります。

考えるのをやめたいと思っているのに、どうして今度は「考えるのをやめられないこと」まで考えているのでしょう。

今回は、思考を止めるための新しい方法ではなく、考えが浮かんだあと、自分の中で何が起きているのかを考えてみます。

目次

考えが浮かぶことと、考え続けること

私たちは日常的に、さまざまなことを考えています。

朝、何を食べようか。

今日は何時に出かけようか。

あの人に何と返信しようか。

こうした思考は、生活の中で役立っています。

また、考えようと決めていなくても、ふと何かを思い出すことがあります。

以前行った場所。

好きな歌。

昨日の会話。

明日の予定。

では、嫌なことが浮かんだときはどうでしょう。

「そんなこと、考えたくない」

と思うかもしれません。

そして、その考えを消そうとする。

ただ、ここには分けられることがあります。

最初に考えが浮かんだこと。

その考えが嫌だと思ったこと。

考えをなくす必要を感じたこと。

そして、なくなったかどうか確認していること。

これらは、一つの経験として感じられるかもしれませんが、同じではありません。

考えが浮かぶことと、その考えを問題にすることは別なのです。

「考えないようにしよう」とすると、何が起きる?

たとえば、友達との会話を思い出したとします。

相手から、

「そうなんだ」

と言われた。

その声や表情が気になって、

「何か嫌なことを言ったかな」

と思った。

ここで、もう一度考えないようにしようとします。

「気にしない、気にしない」

そう自分に言い聞かせる。

でも、少したつと、

「もう気にならなくなったかな」

と確認してしまう。

すると、先ほどの会話をまた思い出すかもしれません。

考えをなくそうとしているのに、なくなったかどうかを確かめるために、再びその考えに注意を向けている。

少し奇妙なことが起きています。

もちろん、考えを別の方向へ向ける方法で楽になる場合もあります。

ただ、考えないことを強く意識すると、かえってその考えが頭に浮かびやすくなる場合もあります。

心理学でも、思考を抑えようとすることが逆にその思考を意識しやすくする現象が研究されています。

ただし、すべての人に必ず同じことが起きるわけではありません。

ここで注目したいのは、考えを消そうとしている自分が、何を確かめ続けているのかという部分です。

考えている内容より、その先の予測が気になっていることもある

最初の夜の場面に戻ってみましょう。

昼間、誰かと会話した。

そのときの相手の言葉を思い出した。

「あの言い方はまずかったかな」

と考えた。

さらに、

「嫌われたかもしれない」

「明日、距離を置かれるかもしれない」

と予測した。

不安になった。

そして、その不安が嫌だから、考えることをやめたくなった。

もしこうした流れがあるなら、最初から単に思考が多かったというだけではないかもしれません。

相手の言葉に、何か意味を加えた。

そこから未来を予測した。

その予測によって不安が生まれた。

そして、不安を感じなくなるために、思考を止めることが必要になった。

そんなことが起きていた可能性があります。

では、何を避けたくて考えるのをやめようとしていたのでしょう。

嫌われる未来を想像することだったのでしょうか。

不安を感じることだったのでしょうか。

それとも、考え続けている自分を見たくなかったのでしょうか。

「考えすぎる」という一言の中にも、いくつもの違う反応が含まれている場合があります。

「考えすぎる自分はダメ」が加わるとき

考えが止まらないとき、

「私は本当に考えすぎる」

と思うことがあります。

それだけなら、自分の傾向についての説明かもしれません。

でも、そこから、

「普通の人は、こんなに気にしないはず」

「私は精神的に弱いんだろうな」

「もっと落ち着いていられる人になりたい」

と思ったらどうでしょう。

最初は、昼間の会話を気にしていました。

ところが今度は、考え続ける自分自身を問題にしています。

その結果、

「こんな自分を変えなければ」

という新しい必要性が生まれるかもしれません。

そして、思考を止められるようになるために、いろいろな方法を探し始める。

でも、また考えてしまった。

すると、

「やっぱり変われていない」

と思うことがあります。

最初の考えに対して、さらに自分への判断が重なっています。

そとがわメソッドでは、このように最初の反応をした自分への判断も、分けて見ていきます。

不安になる自分が嫌になるのはなぜ?不安に重なる「二つ目の苦しさ」の仕組みでも、この二つ目の反応を具体的に扱っています。

思考が止まったら、本当に問題はなくなる?

少し違う角度から考えてみます。

昼間の会話について考え続けていた。

そして、何か別のことに夢中になり、しばらく忘れていたとします。

その間は、気にならなかった。

では、その出来事そのものに何か変化があったでしょうか。

相手から新しい返事があったわけではありません。

誤解が解けたことを確認したわけでもありません。

ただ、その出来事について考えていなかった。

すると、気にならなかった。

これは、思考に注意を向けているかどうかが、自分の経験に影響している可能性を示しています。

ただし、考えなくなれば、現実の問題が解決するとは限りません。

仕事のミスなら、修正が必要かもしれません。

人間関係で確認したいことがあるなら、相手に聞くこともできます。

現実の問題への対応と、頭の中で予測を繰り返すことは、分けて考えられます。

ここで知りたいのは、思考を止めることが唯一の解決策なのかということです。

「考えがある」と「その考えが現実である」は同じ?

たとえば、

「明日、上司から注意されるかもしれない」

という考えが浮かんだとします。

そうすると、実際に注意される場面が頭に浮かぶかもしれません。

上司の表情。

言われそうな言葉。

その場で困っている自分。

まだ明日になっていないのに、身体が緊張することがあります。

でも、今、何が起きているのでしょう。

明日の出来事を予測している。

その予測によって不安になっている。

現時点で、実際に上司から注意されたわけではないかもしれません。

それでも本人には、明日注意されることが、すでに現実の問題のように感じられる場合があります。

このとき、

「考えるのをやめなきゃ」

とする前に、

「今、私は明日の出来事を予測しているんだな」

と知ることもできます。

もちろん、それで必ず不安がなくなるわけではありません。

ただ、今実際に起きていることと、これから起きると予測していることは、別だと確認できます。

思考の内容を信じるかどうかと、思考が浮かんだこと自体は、同じではありません。

考えることが必要になっている場合もある

考えすぎていると感じるとき、実は考え続けることにも理由があるかもしれません。

たとえば、

「何度も考えておけば、失敗を防げるかもしれない」

「最悪の事態を想像しておけば、困らずに済むかもしれない」

「相手が何を考えているか分かれば、嫌われずに済むかもしれない」

そう思っていたらどうでしょう。

考え続けることが、何かを避けるために必要になっている可能性があります。

一方では、

「考えるのをやめたい」

と思っている。

でも、もう一方では、

「考えるのをやめたら、何か大切なことを見落とすかもしれない」

と感じているかもしれません。

だとしたら、考えを止めることが難しいのも、少し違った形で理解できます。

単に意志が弱いのではなく、考えておく必要を感じている可能性があるからです。

ここで、あなた自身の経験を思い出してみてください。

何度も同じことを考えていたとき、考えるのをやめたら、何が起きると思っていたでしょうか。

この問いに、無理に答えを出す必要はありません。

ただ、その思考がなぜ必要に感じられたのかを見てみることはできます。

「何も考えない状態」を目標にしなくてもいい

瞑想やマインドフルネスなどに触れると、

「頭を空っぽにしたい」

「雑念をなくしたい」

と思うことがあるかもしれません。

そうした方法によって、気持ちが落ち着く人もいます。

ただ、もし、

「何も考えていない状態が正しい」

という基準ができていたらどうでしょう。

瞑想をしていて考えが浮かんだ。

すると、

「また雑念が出てきた」

と思う。

そして、

「まだうまくできていない」

と評価する。

今度は、考えが浮かんだこと自体が、失敗になっているかもしれません。

すると、もっと上手に思考を止める必要が生まれます。

もともとは落ち着きたくて始めたことなのに、思考を止められる自分になるための努力に変わっていく場合もあります。

これは、内観しているのに苦しいのはなぜ?自分を観察することが「採点」に変わるときにもつながる話です。

自分の内側を見ているつもりが、正しくできているかどうかを確認することに変わっている場合があるのです。

「思考を止めなきゃ」という考えも、思考の一つ

ここで、もう一つ考えてみましょう。

「考えるのをやめたい」

「こんなこと、考えちゃダメだ」

そう思ったとします。

では、その「考えちゃダメだ」という言葉は、何でしょう。

それもまた、一つの考えではないでしょうか。

考えをなくそうとして、考えが生まれている。

なんだか少し不思議です。

しかも、その考えを正しいものとして扱うと、

「考えを止めなければならない」

という新しい課題ができます。

そして、その課題を達成できない自分が気になってくることもあります。

ここで、思考を止めるための努力がすべて無意味だと言いたいわけではありません。

ただ、思考をなくすことが必要になった理由を、まだ見ていない場合があります。

そもそも、なぜ今、その考えがあってはいけないのでしょう。

不安になるからでしょうか。

眠れなくなるからでしょうか。

仕事に集中できなくなるからでしょうか。

それとも、考えすぎる自分が嫌だからでしょうか。

理由によって、現実に必要な対応は違うかもしれません。

考えが浮かんでいても、今の状況は確認できる

たとえば、明日の仕事について不安な考えが浮かんでいたとします。

「失敗するかもしれない」

という思考がある。

そのとき、仕事の準備が必要なら準備できます。

分からないことがあれば確認できます。

休息が必要なら休むこともできます。

考えが浮かんでいることと、何もできないことは同じではありません。

もちろん、思考や不安が強く、日常生活に大きな支障が出る場合もあります。

その場合に、無理に一人で観察し続ける必要はありません。

必要な支援や適切な対処を選ぶことも大切です。

そとがわメソッドで大切にしているのは、思考を消すことではなく、今の自分の中で何が起きているのかを見ることです。

浮かんだ考え。

その考えについた意味。

予測したこと。

身体や感情の反応。

そして、必要だと感じた行動。

これらは、普段、一つの現実として経験されることがあります。

でも、一つひとつ分けて見ることはできます。

今、考えていることは何を必要にしている?

最後に、もう一度、自分の経験を思い出してみてください。

考えたくないことが、何度も浮かんできた。

そのとき、何を考えていたのでしょう。

過去の出来事でしょうか。

まだ起きていない未来でしょうか。

誰かの気持ちについてでしょうか。

それとも、考え続けている自分についてでしょうか。

そして、その考えを止める必要があると思ったのは、なぜでしょう。

何を避けたかったのでしょう。

何が起きると困るのでしょう。

ここで大切なのは、正しい答えを見つけることではありません。

自分の中で、思考がどんな現実として経験されているのかを見ることです。

「考えがある」

ということと、

「その考えを何とかしなければならない」

ということは、分けられます。

考えを採用することもできます。

別の可能性を考えることもできます。

必要な行動を選ぶこともできます。

そして、今は何もしないという選択もあるでしょう。

思考を完全に止められる人にならなくても、今の自分に何が起きているのかを見ることはできるのです。

考えすぎてしまう仕組みを知りたい方へ

考えるのをやめたい。

でも、やめようとするほど気になる。

そして、考え続ける自分まで嫌になってしまう。

そのとき、自分の中では何が起きているのでしょう。

そとがわメソッドの無料講座では、出来事と意味づけ、予測、身体や感情の反応、さらにその反応をした自分への判断を分けて、人間が現実を経験する仕組みを説明しています。

新しい思考停止の方法を増やすためではなく、自分の中で何が起きているのかを知る入口としてご覧ください。

よくある質問

Q. 考えすぎるのは性格なのでしょうか?

考えやすさには個人差がありますが、それだけで説明できるとは限りません。

経験や学習、現在の状況、疲労なども関係する場合があります。

この記事では、性格の問題と決める前に、その場で何を予測し、なぜ考え続ける必要が生まれているのかを見ています。

Q. 考えないようにする方法は使わない方がいいのでしょうか?

そんなことはありません。

気分転換や注意を別の方向に向ける方法が役立つ場合もあります。

ただ、考えを完全になくすことを合格条件にすると、まだ考えているかどうかを何度も確認してしまうこともあります。

Q. 思考を観察すれば、考えが止まるようになりますか?

観察によって自分の反応に気づきやすくなる場合はありますが、必ず思考が止まるとは限りません。

そとがわメソッドは、思考を止めることを目標にしていません。

考えが浮かんだことと、その考えを唯一の現実として扱うことを分けて見る立場です。

Q. 夜に考えが止まらず、眠れない場合はどうすればいいですか?

睡眠に支障が出ている場合は、生活環境や休息の取り方を見直すことが役立つ場合があります。

眠れない状態が続く場合や、強い不安によって日常生活に影響が出ている場合には、医療の専門家へ相談することも選択肢です。

思考の仕組みを理解することだけで、睡眠の問題が必ず解決するわけではありません。

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まずは無料講座から

考えが浮かんだ。

その考えを嫌だと思った。

考えをなくす必要を感じた。

でも、なくならなかった。

そして、考えを止められない自分を責めた。

一続きの経験に感じられても、その中ではいくつもの判断や反応が起きているかもしれません。

そとがわメソッドでは、それらを分けながら、人間が現実を経験する仕組みを見ていきます。

考えない人になるためでも、いつも静かな心を維持するためでもありません。

自分の中で何が起きているのかを知り、そのうえで選べる余地を見つけるための入口です。

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この記事を書いた人

そとがわメソッド開発者。心理学・自己啓発・潜在意識などを学んでも自己否定が終わらなかった自身の経験から、「自分を変える前に、何が起きているのかを見る」そとがわメソッドを開発。著書『自分を否定しない練習』。
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