不安になる自分が嫌になるのはなぜ?不安に重なる「二つ目の苦しさ」の仕組み

明日、仕事で初めて担当する業務がある。

説明は聞いたし、必要な準備もした。

それなのに、夜になると少し落ち着かなくなる。

「ちゃんとできるかな」

「何か間違えないかな」

そんなことを考えて、不安になる。

ここまでは、誰にでもありそうな経験です。

でも、そのあとに、こんな考えが浮かんだことはありませんか。

「また不安になっている」

「こんなことくらいで不安になるなんて」

「もっと堂々としていられる人になりたい」

「どうして私は、いつまでもこうなんだろう」

最初は、明日の仕事が心配だったはずです。

ところが、いつの間にか、不安になっている自分のことまで嫌になっている。

明日の仕事を心配していたのに、どうして自分自身が問題になったのでしょう。

今回は、不安をなくす方法ではなく、不安になったあとにもう一つ苦しさが生まれる仕組みを考えてみます。

目次

不安なことと、不安になる自分が嫌なことは違う

たとえば、病院で検査を受ける予定があるとします。

まだ結果は出ていません。

何か問題が見つかったわけでもありません。

それでも、

「もし良くない結果だったらどうしよう」

と考えて不安になることがあります。

このとき、不安は検査の結果について生まれています。

ところが、そこから、

「こんなに心配するなんて、私は気が弱い」

「もっと前向きに考えなければ」

と思ったらどうでしょう。

今度は、検査結果だけではなく、不安を感じている自分に対して判断が生まれています。

最初の不安と、あとから加わった自己評価は、別のものです。

もちろん、実際の場面では、この二つがはっきり分かれて感じられるとは限りません。

ただ漠然と、どんどん気持ちが重くなっていくこともあるでしょう。

だからこそ、少し不思議なのです。

最初に心配していたことが何も変わっていないのに、どうして苦しさが増えることがあるのでしょうか。

不安を感じた瞬間に、自分への判断が加わる

職場で、上司からこう言われたとします。

「明日、この件について少し話しましょう」

ここで確認できる出来事は、上司からその言葉を伝えられたことです。

でも、自分の中では、

「何か注意されるのかな」

「仕事で間違えていたのかな」

と考えるかもしれません。

そうすると、不安が生まれることがあります。

そして、そこに別の判断が加わる場合があります。

「また上司の言葉に反応している」

「普通の人は、こんなことで不安にならないはず」

「私は社会人なのに、まだこんなに気にしている」

最初は、上司が何を話そうとしているのか分からなかった。

そこに「注意されるのかもしれない」という意味や予測が加わった。

そして、不安になった。

さらに、その不安を感じた自分に「弱い」「未熟だ」といった意味が加わった。

こうして見ると、少なくとも二つの異なる判断があることに気づきます。

一つは、明日の出来事についての予測。

もう一つは、その予測に反応した自分についての評価です。

そとがわメソッドでは、このように最初の反応に重なる判断も、観察する対象にしています。

「不安にならない人になりたい」は、どこから来る?

不安なとき、

「もっと自信を持ちたい」

「堂々としていたい」

「少しくらいのことでは動じない人になりたい」

と思うことがあります。

そうした希望を持つこと自体は問題ではありません。

実際に、自分に合う方法を身につけて不安が軽くなる場合もあります。

ただ、ここで考えてみたいことがあります。

もし、不安になる自分をダメだと思っているとしたら、何が必要になるでしょう。

当然、「不安にならない自分」になる必要が生まれるかもしれません。

すると、不安が出てくるたびに、

「またできていない」

「まだ自分は変われていない」

と評価することになります。

不安をなくしたくて努力しているのに、不安があること自体が失敗の証拠になってしまう。

こうなると、最初の出来事についての不安に加えて、自分の成長についても心配することになります。

不安を感じることが、いつから自分の欠点を表すものになったのでしょう。

ここを考えると、単に「どうすれば不安をなくせるか」とは違うものが見えてきます。

「普通はこんなことで不安にならない」は本当?

誰かに、

「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」

と言われた経験はないでしょうか。

相手は安心させようとしてくれたのかもしれません。

でも、その言葉を聞いて、

「やっぱり私が心配しすぎなんだ」

と思うことがあります。

では、本当に、同じ場面で誰もが同じように感じるのでしょうか。

初めて行く場所。

人前で話すこと。

検査の結果を待つこと。

誰かから返事が来ないこと。

こうした出来事に対する反応は、人によって違うことがあります。

ある人は気にしない。

別の人は不安になる。

それまでの経験や予測、現在の状況も違うからです。

不安を感じなかった人が正しく、不安を感じた人が間違っていると、必ずしも言えるわけではありません。

また、実際に警戒が必要な状況もあります。

不安を感じたら必ず認知の問題だ、という話でもありません。

ただ、不安が生まれたあとに、

「普通の人なら不安にならない」

という基準が加わっていたなら、その基準自体も確かめられます。

なぜ人は自分の考えが正しいと思うのか?「普通」が人によって違う理由でも、自分にとって当たり前の基準が、どのように判断に関わるのかを扱っています。

不安をなくそうとするほど、不安が気になることもある

不安を感じることが嫌になると、その感覚を何とかしようとすることがあります。

気持ちを切り替える。

前向きに考える。

呼吸を整える。

安心できる情報を探す。

こうした方法が役立つこともあります。

ただ、不安がなくなることを目標にしていると、別のことが起きる場合があります。

少し落ち着いた。

でも、まだ胸がざわざわしている。

すると、

「まだ不安が残っている」

と思う。

もっと落ち着こうとする。

それでも不安があると、

「どうして消えないんだろう」

と考える。

こうして、不安があるかどうかを何度も確認するようになることがあります。

最初は、目の前の出来事が気になっていたはずです。

でも今は、自分の不安が消えたかどうかが気になっている。

不安をなくすための行動そのものが、さらに不安を確認する機会になることもあるのです。

もちろん、不安が強いときに落ち着く方法を使ってはいけない、という意味ではありません。

ここで見たいのは、方法の良し悪しではなく、何を達成しないといけないと思っているのかということです。

「不安がある」と「私は弱い」は同じではない

少しだけ、自分の経験を思い出してみてください。

最近、不安になったことはありませんか。

そして、その不安に気づいたあとで、自分について何か考えたでしょうか。

たとえば、

「私は心配性だ」

「私は気が小さい」

「私はいつも悪い方に考える」

そんな言葉が浮かんだかもしれません。

では、そのとき実際に起きていたことは何でしょう。

何かを予測した。

身体が緊張した。

不安を感じた。

それらは、そのときの自分に起きた経験です。

でも、

「だから私は弱い人間だ」

というのは、その経験についての評価です。

一つの場面で不安を感じたことと、自分が弱い人間であることは、同じ事実ではありません。

不安になりやすい傾向がある人もいるでしょう。

その傾向について理解したり、必要な対応を考えたりすることもできます。

ただ、傾向があることと、人間としての価値が低いことは、別の話です。

「私は不安だ」と「不安がある」は何が違う?反応と自分を分けて見る「観察点」では、こうした反応と自分自身を分けて見ることについて、さらに詳しく扱っています。

「不安になってはいけない」と思ったときの不思議

ここで一つ、逆の方向から考えてみます。

「不安になってはいけない」

と思っていたとします。

そして、実際に不安が出てきた。

そのとき、自分の中では何が起きるでしょう。

「また不安になってしまった」

と思うかもしれません。

すると、不安を感じたことが、自分の決めたルールに反する出来事になります。

今度は、そのルールを守れなかった自分が気になってくる。

「もっと気持ちを強く持たなきゃ」

「また不安になるかもしれない」

と考えることもあるでしょう。

もともとは、不安をなくして楽になりたかったはずです。

でも、不安をなくすことを絶対の条件にすると、不安があるたびに新しい問題が生まれる可能性があります。

そして、その問題をなくすために、また何かをする必要が出てきます。

このとき、本当に問題にしているのは、最初の出来事なのでしょうか。

それとも、「不安があってはいけない」という基準に合わない自分なのでしょうか。

二つ目の反応も、さらに直さなくていい

ここまで読むと、

「じゃあ、不安になる自分を責めなければいいんだ」

と思うかもしれません。

それも一つの理解です。

ただ、そこから、

「不安になっても自分を責めないようにしなきゃ」

と決めたらどうでしょう。

次に不安になったとき、また自分を責めてしまった。

すると、

「今度は自分責めまでやめられなかった」

と思うかもしれません。

これでは、また一つ新しい合格基準が増えてしまいます。

最初の不安。

不安になった自分への評価。

さらに、その評価をした自分への評価。

こうして、何段階にも判断が重なっていく可能性があります。

そとがわメソッドでは、二つ目の反応をなくすことも、新しい正解にはしません。

「不安になった」

「そんな自分をダメだと思った」

「自分を責めていることにも気づいた」

そこに何が起きているのかを見ることができます。

自分への評価が出てくること自体を、さらに問題にしなくてもいいのです。

不安が消えなくても、確認できることがある

では、実際に不安になったとき、何が見えてくるでしょう。

最初の例に戻ります。

明日、新しい仕事を担当する。

「間違えたらどうしよう」と考えた。

不安になった。

「こんなことで不安になる自分は弱い」と思った。

ここで、いくつか分けて確認できます。

明日、新しい仕事があること。

まだ起きていない失敗を予測していること。

その予測から不安が生まれていること。

さらに、不安になった自分を弱いと判断していること。

もちろん、必要な準備が足りなければ準備できます。

仕事内容に不明点があれば確認できます。

実際に危険があるなら、その危険に対応する必要があります。

一方で、「不安になる私は弱い」という評価については、それがどこから加わったのかを見ることができます。

不安が残っていても、今の状況について考えることはできます。

不安があることと、何も選べないことも同じではありません。

大切なのは、不安を感じなくなることを唯一の目標にしないことです。

最初の苦しさに、何を足していたのだろう?

ここで、今日の記事の最初の問いに戻ってみましょう。

あなたが不安になったとき、その不安について、さらにどんな意味を加えていたでしょうか。

弱い。

未熟。

気にしすぎ。

成長していない。

もっと強くならなければならない。

そうした判断が加わっていたかもしれません。

最初に不安になったことと、その不安を持つ自分を評価すること。

この二つを分けてみると、苦しさが増えていく仕組みの一部が見えることがあります。

そとがわメソッドでは、こうした人間の反応を、正しいものに直すことよりも、どのように生まれたのかを知ることを大切にしています。

自分が何を経験し、そこにどんな意味が加わり、何が必要になったのか。

それが見えてくると、反応をした自分を否定する以外の選択肢にも気づきやすくなります。

不安にもう一つ苦しさが重なる仕組みを知りたい方へ

不安になった。

その自分が嫌になった。

そして、何とか変わろうとした。

その一連の経験の中では、いくつもの反応や判断が起きているかもしれません。

そとがわメソッドの無料講座では、出来事と意味づけ、予測、感情や身体の反応、さらにその反応をした自分への判断を分けて、人間が現実を経験する仕組みを説明しています。

不安をなくすための新しい方法を増やす前に、自分の中で何が起きているのかを知る入口としてご覧ください。

よくある質問

Q. 不安になる自分を嫌だと思うのは、自己肯定感が低いからですか?

自己肯定感が関係する場合もありますが、それだけで説明できるとは限りません。

過去の経験や自分への期待、「不安になってはいけない」という基準など、さまざまなことが関係する可能性があります。

この記事では、原因を一つに決めるより、不安になったあとにどんな自己評価が加わっているのかを見ています。

Q. 不安を感じることは、悪いことではないのでしょうか?

不安は、危険や不確実な状況への反応として生まれることがあります。

不安を感じたという事実だけで、自分を悪い人間だと判断する必要はありません。

一方で、不安が強く生活に支障をきたしているなら、適切な支援や対処を考えることも大切です。

Q. 自分を責めないように練習した方がいいですか?

自分への接し方を見直す練習で楽になる場合もあります。

ただ、「絶対に自分を責めてはいけない」と決めると、責めてしまった自分をさらに評価する場合があります。

そとがわメソッドでは、自分を責めたという反応そのものも観察の対象にします。

Q. 不安が強いときも、自分の反応を観察するべきですか?

無理に観察し続ける必要はありません。

不安が非常に強いときは、休息や安全確保、周囲の支援などが優先される場合があります。

強い不安が続いたり、日常生活に大きな影響が出ていたりする場合は、医療や心理の専門家に相談することも選択肢です。

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まずは無料講座から

不安があること。

不安になった自分が嫌になること。

さらに、その自分を変えなければならないと思うこと。

一続きの経験に感じられても、それぞれは同じものではありません。

そとがわメソッドでは、出来事から意味づけ、予測、反応、自己評価へとつながる仕組みを、一つずつ分けて見ていきます。

不安がなくなる人になるためでも、常に自分を肯定するためでもありません。

今、自分の中で何が起きているのかを知り、そのうえで選べる状態へ進むための入口です。

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この記事を書いた人

そとがわメソッド開発者。心理学・自己啓発・潜在意識などを学んでも自己否定が終わらなかった自身の経験から、「自分を変える前に、何が起きているのかを見る」そとがわメソッドを開発。著書『自分を否定しない練習』。
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