言いたいことが言えないのはなぜ?「言えるようになる」前に見たいこと

言いたいことがある。

本当は断りたい。
違うと思っている。
嫌だったと伝えたい。
自分の希望を言いたい。

でも、相手を前にすると言えない。

その場では、

「大丈夫です」
「どっちでもいいよ」
「気にしてないよ」

と言ってしまう。

そしてあとになって、

「なんで言えなかったんだろう」
「また相手に合わせてしまった」
「もっと自分の意見を言えるようにならないと」

と考える。

そんなことはないでしょうか。

「言いたいことが言えない」という悩みを見ると、

もっと勇気を持つ。
伝え方を覚える。
自分の気持ちを大切にする。
嫌われることを恐れない。

そんな方法を考えたくなるかもしれません。

もちろん、それが役に立つこともあります。

ただ、その前に見てみたいことがあります。

言いたいことがあるのに言わなかったとき、自分の中では何が起きていたのでしょうか。


目次

言いたいことが「ない」のではなく、言う前に別のことが起きている

たとえば、友人と食事に行くことになったとします。

相手から、

「この店でいい?」

と聞かれた。

本当は別のお店に行きたい。

その希望にも気づいている。

でも、その瞬間、

「ここがいいって言ったら面倒かな」

「せっかく決めてくれたのに悪いかな」

「わがままだと思われるかな」

「空気が悪くなったら嫌だな」

そんなことが浮かぶ。

すると、

「私はこっちに行きたい」

という自分の希望だけを見ていたはずなのに、

いつの間にか、

それを言ったあとの相手の反応

まで見ています。

そして、

「どこでもいいよ」

と言う。

ここだけを見ると、

「自分の意見が言えなかった」

という一つの問題に見えます。

でも、その前にはすでにいくつものことが起きています。


「言う」と「言ったあとに何が起きるか」は別の話

自分の希望を言うことと、

その結果として相手がどう反応するかは、本来は別のことです。

「私はこっちがいい」

と言ったからといって、

必ず嫌われるわけではありません。

相手が不機嫌になるとも限りません。

わがままだと思われるとも限りません。

でも自分の中で、

言う
→ 相手が嫌な顔をする
→ 関係が悪くなる

というところまで一続きになっていたらどうでしょう。

その場合、

「自分の希望を伝える」

という行動は、単に意見を言うだけではなくなります。

自分の中では、

関係が悪くなるかもしれない行動

として成立することがあります。

そうなれば、

言わない。
合わせる。
笑って流す。

という行動にも理由が出てきます。


「言えない自分」だけを見ると、直す場所が自分になる

あとから振り返ると、

「言えばよかった」

と思うかもしれません。

そして、

「私はいつも言えない」

「自分軸がない」

「人の顔色を気にしすぎる」

「もっと堂々としなきゃ」

と考える。

すると今度は、

言えなかった自分をどう直すか

という話になります。

でも、実際の場面で起きていたことをもう少し分けてみると、

出来事があった。

自分の希望があった。

相手の反応を予測した。

その反応に意味がついた。

不安や緊張が起きた。

言わない、合わせるという行動を選んだ。

そしてあとから、

「言えなかった自分はダメだ」

と評価した。

という流れだったかもしれません。

「言いたいことが言えない」という一言の中に、これだけのことが入っている可能性があります。


言わないことが、その場では役に立っていることもある

ここで、

「じゃあ、怖くても言えばいい」

とすると、また同じところへ戻ります。

見るのは、

なぜその場では「言わない」という行動が成立したのか

です。

言わなければ、

相手を怒らせずに済む。

嫌われる可能性を減らせる。

その場の空気を壊さずに済む。

面倒な説明をしなくて済む。

自分が傷つく可能性を減らせる。

実際にそうなるかどうかとは別に、

自分の中でそう予測されているなら、

「言わない」ことには役割があります。

だから、

「言いたいことを言えない自分をやめよう」

だけでは終わらないことがあります。


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相手の反応が気になることと、言いたいことがあることは両立する

ここで、

「人の反応なんて気にしなければいい」

とする必要もありません。

相手がどう感じるかを考えることもできます。

関係を大切にすることもできます。

伝え方を工夫することもできます。

そのうえで、

「私は本当はどうしたい?」

も同時に存在できます。

問題になるのは、

相手の反応を考えた瞬間に、

自分の希望が最初から選択肢から消えてしまう

ようなときです。

「私はこれがいい。でも相手はどう思うかな」

なら、まだ両方あります。

ところが、

「相手が嫌がるかもしれない。だから私はこれでいい」

になると、

自分の希望そのものが書き換わったように見えることがあります。


言ったあとに何度も振り返るなら、別の流れも続いている

勇気を出して言えたとしても、

今度は、

「あんな言い方でよかったかな」

「嫌な気分にさせたかな」

「言わない方がよかったかな」

と何度も考えることもあります。

すると、

「言えるようになる」

だけでは問題が終わりません。

行動のあとにも、

相手の表情を思い出す。

言葉の意味を考える。

自分の言い方を採点する。

もっと正しい言い方を探す。

ということが続くからです。

だから見る場所は、

言えたか、言えなかったかだけではありません。

その前後を含めて、

自分の中で何が起きているのかを見ることができます。


本当に言わない方がいい場面もある

もちろん、

何でも思ったことを言えばいいわけではありません。

立場の差が大きい。

相手が攻撃的である。

安全に関わる。

仕事上、伝えるタイミングを選ぶ必要がある。

そういう場面もあります。

だから、

「言えない=悪い」

でも、

「言う=正しい」

でもありません。

見るのは、

今この場面で言わないことを、自分は何のために選んでいるのか。

そこが分かれば、

言う。
言い方を変える。
今は言わない。
あとで伝える。
距離を取る。

いくつかの行動を分けて考えられるようになります。


「どうすれば言える?」の前に見てみる

言いたいことが言えないとき、

すぐに自分を変えようとしなくても構いません。

まず、

「私は何を言いたかった?」

そして、

「それを言ったら、何が起きると思った?」

と分けてみる。

すると、

「言えない性格」

という一つの問題に見えていたものの中に、

相手の反応への予測や、

その反応につけている意味、

その場で自分を守るための行動が見えてくることがあります。

言いたいことが言えない。

それだけを直そうとする前に、

なぜその場では、言わないことが必要になったのか。

そこから見てみてもいいのではないでしょうか。


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自分を変える前に、何が起きているのかを見る

「もっと自分の意見を言える人になろう」

と頑張る前に、

なぜ言わない方が安全に感じたのか。

なぜ相手の反応がそれほど重要になったのか。

言わなかったあと、なぜ自分を責めたのか。

一つずつ分けて見ていくと、

「言いたいことが言えない」という一つの悩みに見えていたものの中にも、

いくつもの仕組みが見えてきます。

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この記事を書いた人

そとがわメソッド開発者。心理学・自己啓発・潜在意識などを学んでも自己否定が終わらなかった自身の経験から、「自分を変える前に、何が起きているのかを見る」そとがわメソッドを開発。著書『自分を否定しない練習』。
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