「水・金・地・火・木・土・天・海・冥」
この順番、覚えていますか?
太陽に近い順に、惑星の名前を並べたものです。
学校で一生懸命覚えたという人もいるでしょう。
ところが、ある日、こんな話を聞きました。
「冥王星は、もう惑星じゃないんだよ」
……えっ?
いやいや。
学校で習いましたけど?
テストでも答えましたけど?
ちゃんと暗記しましたけど!?
あの努力は何だったんですか!w
しかも、冥王星は太陽系から消えたわけではありません。
どこかへ引っ越したわけでもありません。
突然、小さくなってしまったわけでもありません。
今も太陽の周りを回っています。
なのに、惑星ではなくなった。
一体、何が起きたのでしょう。
実は、変わったのは冥王星そのものではありません。
どんな天体を「惑星」と呼ぶのかという、人間が使っている分類の基準が変わったんです。
しかも、この話には、ちょっと面白い続きがあります。
冥王星が惑星から外れる直前には、反対に太陽系の惑星を12個に増やす案まで出ていたのです。
9個が8個になった話かと思ったら、途中で12個になる可能性まであった。
なかなか忙しいですよねw
今日は、冥王星をめぐる実際の天文学の歴史から、私たちが「正しい」「当たり前」と思っていることの不思議を考えてみましょう。
冥王星はなぜ惑星ではなくなったの?
まず、結論から見てみましょう。
冥王星が惑星ではなくなったのは、2006年8月24日に、太陽系の惑星についての定義が採択されたからです。
この日、チェコのプラハで開かれていた国際天文学連合(IAU)の総会で、惑星の条件が決められました。
それまで太陽系の惑星として知られていたのは、次の9つです。
水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星。
ところが、新しく決められた条件に当てはめると、冥王星は「惑星」には含まれませんでした。
代わりに「準惑星(dwarf planet)」という分類になったんです。
つまり、
「冥王星がなくなりました」
ではなく、
「冥王星を入れていたカテゴリーが変わりました」
という話です。
少し違うことですよね。
例えば、学校のクラス分けが変わったからといって、生徒そのものが別人になるわけではありません。
冥王星も同じです。
名前が変わったわけでも、存在しなくなったわけでもありません。
ただし、今回の分類変更には、天文学の観測や研究に基づく理由がありました。
まずは、その経緯を見てみましょう。
そもそも、どうして冥王星は惑星だったの?
冥王星が発見されたのは、1930年です。
アメリカの天文学者クライド・トンボーによって発見されました。
当時は、海王星よりも外側にある天体について、今ほど詳しく分かっていませんでした。
そんな中、太陽の周りを回る新しい天体として発見された冥王星は、太陽系の9番目の惑星として扱われるようになります。
こうして、9惑星という説明が定着していきました。
ところが、冥王星には、ほかの惑星とは少し違う特徴がありました。
例えば、軌道が大きく傾いています。
太陽の周りを回る道筋も、比較的細長い楕円形です。
大きさについても、観測が進むにつれて、当初の推定とは異なることが分かってきました。
とはいえ、
「思っていたより小さかったから、惑星をやめてもらいました」
という単純な話ではありません。
実は、問題はもっと大きくなっていったんです。
冥王星に似た天体が、ほかにも見つかり始めました。
冥王星の仲間が、次々に見つかってしまった
1990年代以降、望遠鏡や観測技術の進歩によって、海王星より外側にある天体が次々に発見されるようになりました。
このあたりには、氷や岩石などからなる多くの小天体が存在しています。
「カイパーベルト」と呼ばれる領域です。
冥王星も、その領域に属する天体として理解されています。
そして、2005年。
冥王星と同じくらいの大きさを持つ天体の発見が、大きく報じられました。
のちに「エリス」と名付けられる天体です。
発見当初は、冥王星より大きいのではないかと考えられていました。
その後の観測では、直径は冥王星の方がわずかに大きい一方、質量はエリスの方が大きいことが分かっています。
さて、ここで困ったことが起きます。
もし冥王星が惑星なら、冥王星によく似たエリスは何なのでしょう。
エリスも惑星?
では、ほかにも似た天体が見つかったら?
それも惑星?
さらに見つかったら?
……。
これ、惑星の名前を覚える子どもたちにとっては、なかなか大変な未来かもしれません。w
もちろん、天文学者が暗記の大変さだけで分類を考えていたわけではありません。
問題は、どんな特徴を持つ天体を、同じカテゴリーとして扱うのが適切なのかということです。
そこで、これまで必ずしも明確ではなかった「惑星」の定義を決める必要が出てきたんです。
2006年に決まった「惑星の3つの条件」
では、実際にどんな条件が決められたのでしょう。
国際天文学連合が2006年に採択した、太陽系の惑星についての定義では、次の3つが条件になりました。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 太陽の周りを回っている |
| 2 | 自分の重力によって、ほぼ球形になっている |
| 3 | 軌道の周辺で、重力的に支配的な存在になっている |
では、冥王星はどうでしょう。
まず、太陽の周りを回っています。
これはクリアです。
次に、ほぼ球形をしています。
これもクリアです。
問題は、3つ目です。
冥王星は、自分の軌道の周辺で、重力的に支配的な存在とはみなされなかったんです。
冥王星が存在する領域には、ほかにも多くの天体があります。
その軌道領域において、ほかの惑星のように支配的な重力的影響を持つ天体とは扱われませんでした。
こうして、冥王星は惑星の3条件をすべて満たさないことになったんです。
「周りの天体を排除した」って、どういうこと?
ここで、少し気になる表現があります。
国立天文台の説明などでは、3つ目の条件を「軌道近くから他の天体を排除した」と表現しています。
これだけ聞くと、
「じゃあ、近くに小さな天体が一つでもあったら惑星じゃないの?」
と思うかもしれません。
でも、そういう意味ではありません。
実際、ほかの惑星にも、似た軌道を共有する小天体などが存在します。
この条件で問題になるのは、周囲に何もないということではなく、その軌道領域で十分に大きな重力的影響を持ち、支配的な存在になっているかどうかです。
つまり、
「近くに誰かいるから失格!」
という話ではないんですw
ここにも、言葉をどんな意味で使っているかという問題がありますね。
参考:国際天文学連合「2006年総会・惑星の定義に関する決議」
準惑星とは?「ちょっと格下の惑星」という意味ではない
さて、冥王星は「準惑星」という分類になりました。
でも、「準」という漢字を見ると、何となくこんな印象を持ちませんか。
正式な惑星ではない。
惜しかった。
もう少し頑張れば惑星になれた。
……いや、冥王星は何を頑張ればいいのでしょう。w
実際には、国際天文学連合の定義で「惑星」と「準惑星」は別のカテゴリーです。
準惑星は、単に惑星より小さい天体という意味ではありません。
太陽を回っていて、ほぼ球形でありながら、軌道の周辺で重力的に支配的ではなく、ほかの天体の衛星でもない。
そうした条件を満たす天体が準惑星です。
冥王星のほかには、セレス、エリス、ハウメア、マケマケなどが知られています。
つまり、「惑星になれなかった残念な天体」を集めたカテゴリーではないんです。
天体の特徴をもとにした、別の分類です。
「準惑星」という日本語から受け取る印象と、天文学上の分類の意味は、必ずしも同じではないんですね。
実は、冥王星が外れるどころか「12惑星」になる案もあった
ここからが、今回の話で特に面白いところです。
2006年8月16日。
国際天文学連合は、惑星の定義についての案を発表しました。
その案では、なんと太陽系の惑星が12個になる可能性があったんです。
……えっ?
9個だったのが8個になったんじゃないの?
と思いますよね。
ところが、その時点で検討されていた案では、冥王星は惑星のままでした。
さらに、新しく惑星に含める候補として、次の3つが挙がっていました。
- セレス
- カロン
- 当時「2003 UB313」と呼ばれていた天体(のちのエリス)
セレスは、現在では準惑星に分類される天体です。
カロンは、冥王星の大きな衛星として知られています。
当時の案では、こうした天体も含めて、12惑星とする可能性があったんです。
しかも、その案が採択されれば、さらに惑星が増える余地もありました。
つまり、当時は、
「これから惑星が増えるかもしれない」
という方向でも考えられていたんですね。
ところが、議論の結果、その案は採用されませんでした。
8月24日に採択されたのは、現在の8惑星という定義です。
同じ2006年8月の中で、12惑星の案が出て、最終的には8惑星になった。
これ、結果だけ知っていたら、なかなか想像できない経緯ですよね。
しかも、天体の方は、会議が開かれている間もいつもどおり太陽の周りを回っています。
地球で議論している間に、冥王星が形を変えていたわけではありません。
変わっていたのは、どんな条件で天体を分類するかという、人間の側の検討です。
では、8惑星が正しくて、12惑星は間違いだったの?
ここで、ちょっと考えてみましょう。
当初は12惑星にする案があった。
でも、最終的には8惑星になった。
では、12惑星という考え方は、ただの間違いだったのでしょうか。
少し違う見方もできます。
どんな条件で惑星を分類するのが適切なのか。
そのために、複数の考え方が検討されていたんです。
例えば、天体がほぼ球形になるほどの重力を持っていることを重視するのか。
それとも、その天体が軌道領域で重力的に支配的な存在であることも条件にするのか。
どこに分類の基準を置くかによって、惑星に含まれる天体が変わります。
もちろん、何でも好きなように決めていいという話ではありません。
それぞれの分類には、観測結果や天体の性質に関する科学的な根拠や議論があります。
そして、分類の違いによって、天体の特徴をどのように整理できるかも変わります。
ただ、ここで注目したいのは、
何を基準にするかが違えば、同じ天体でもカテゴリーが変わることがあるということです。
2006年の最終的な決議では、8惑星という定義が採択されました。
現在の国際天文学連合の正式な分類でも、太陽系の惑星は8つです。
一方、惑星の定義をめぐる学術的な議論は、その後もあります。
つまり、正式な分類が決まっていることと、その分類について議論の余地が一切ないことも、同じではないんですね。
冥王星は「降格」されたの?
ここで、もう一つ面白いことがあります。
冥王星が惑星ではなくなったとき、
「冥王星が降格した」
というような表現が使われることがあります。
何となく、意味は分かりますよね。
以前は惑星だった。
今は準惑星になった。
だから、降格した。
……でも、ちょっと待ってください。
冥王星は、何か悪いことをしたのでしょうか。w
成績が下がった?
仕事をさぼった?
ほかの惑星に迷惑をかけた?
そんなことはありませんよね。
冥王星は、以前と同じように太陽の周りを回っています。
それなのに、私たちは「降格」という表現を使うことがあります。
なぜでしょう。
もしかすると、
「惑星の方が、準惑星より上の立場だ」
という印象があるからかもしれません。
でも、天文学上の分類と、社会的な地位の上下は別です。
もちろん、「降格」は分類変更を分かりやすく表現する比喩として使われている場合もあります。
それ自体が悪いわけではありません。
ただ、その表現の中には、単なる分類変更以上の意味が加わっていることがあります。
「惑星ではなくなった」という出来事から、「価値が下がった」という印象が生まれる。
ここ、ちょっと面白いですよね。
準惑星になったあと、冥王星のすごい景色が見つかった
さらに、冥王星の話には続きがあります。
2015年7月14日。
NASAの探査機「ニュー・ホライズンズ」が、冥王星の近くを通過しました。
そして、冥王星の表面を詳しく観測したんです。
その結果、山や平原、氷河など、非常に複雑な地形が明らかになりました。
有名なのは、冥王星の表面に見える大きなハート形の明るい領域です。
その一部には、窒素の氷からなる巨大な氷河が広がっています。
冥王星の表面は、ただの単調な氷の塊ではなかったんですね。
興味深い地形や現象を持つ、研究することの多い天体だったんです。
さて、ここで考えてみてください。
冥王星は、2006年に準惑星になりました。
そして2015年、その冥王星について、新しい発見がありました。
では、「惑星ではなくなった」ことによって、冥王星を研究する価値がなくなっていたのでしょうか。
そんなことはありませんよね。
惑星という肩書きがなくなっても、冥王星は面白かったんです。
むしろ、近くから観測できたことで、以前には分からなかった魅力が次々に明らかになりました。
学校で習った9惑星は「間違った知識」だったの?
さて、最初の疑問に戻ってみましょう。
学校では、9惑星と習いました。
現在は、8惑星です。
では、昔の学校では間違ったことを教えていたのでしょうか。
必ずしも、そういう話ではありません。
当時、冥王星は9番目の惑星として扱われていました。
その時代に広く使われていた分類を、学校でも教えていたんです。
ところが、その後、観測技術が進歩しました。
新しい天体が見つかりました。
そして、どんな天体を惑星と呼ぶかという定義が検討されました。
その結果、分類が変更されたわけです。
ここで、少し分けてみたいことがあります。
一つ目は、天体そのもの。
冥王星という天体が存在していることです。
二つ目は、天体について分かっていること。
大きさ、軌道、周囲の天体、表面の状態など、観測によって得られる知識です。
三つ目は、天体をどう分類するかという基準。
どの条件を満たした天体を、惑星と呼ぶのかという定義です。
この三つは、同じではありません。
新しい観測で、天体について分かることが増える。
それを踏まえて、分類を見直す。
すると、以前は惑星と呼んでいた天体が、別のカテゴリーに入ることがあります。
だからといって、昔に観測された冥王星が、存在しなかったことにはなりません。
以前の知識がいつでも全部間違いだった、という話ではなく、新しい情報によって理解や分類が更新されることがあるんです。
「正解が変わる」って、なんだか不安定じゃない?
さて、ここまで読むと、
「今、正しいとされていることも、将来は変わるかもしれないってこと?」
と思う人もいるでしょう。
それは、あり得ることです。
でも、だからといって、
「科学なんて、どうせ全部適当なんだ」
となるわけではありません。
科学では、観測や実験によって、説明が事実と合っているのかを検討します。
新しい情報が得られたら、これまでの説明を見直すこともあります。
分類についても、その分野で何を区別する必要があるのかが変われば、検討されることがあります。
ここで大切なのは、何を根拠に、どんな意味で正しいとされているのかというところです。
例えば、
「冥王星は太陽の周りを回っている」
という説明と、
「冥王星は惑星である」
という説明では、扱っている内容が違います。
前者は、天体の運動についての説明です。
後者には、何を惑星と呼ぶかという分類の定義が関わっています。
両方とも天文学の話ですが、同じ種類の判断ではないんです。
この違いが分かると、「正解が変わる」という一言の中にも、いろいろな事情があることが見えてきます。
ところで、日常の「普通」も、何を基準にしているんだろう?
ここからは、少し身近な話をしてみましょう。
例えば、職場で誰かが言いました。
「普通、こうするでしょ?」
さて、その「普通」は何でしょう。
会社の規則?
多くの人がしていること?
その人がこれまでしてきたこと?
その業界で一般的な方法?
それとも、単にその人の好みでしょうか。
「普通」と言われると、何となく、誰にとっても同じ基準があるように感じることがあります。
でも、実際には、その言葉が何を指しているのかによって、話が変わります。
例えば、
「普通、10分前には来るでしょ?」
と言われたとします。
でも、約束の時間には間に合っています。
さて、どちらが正しいのでしょう。
もし会社のルールで10分前に集合することが決まっているなら、そのルールを確認できます。
でも、単にその人が「10分前に来るものだ」と思っているだけなら、話は違います。
同じ「普通」でも、使っている基準が違うんです。
もちろん、天文学の定義と日常の「普通」は、同じように決まるものではありません。
天文学には観測や専門的な議論があります。
職場には規則や慣習、人間関係などがあります。
ただ、共通して考えられる問いはあります。
「それは、どんな基準でそう呼ばれているのだろう?」
この問いです。
私たちは、すでに知っている分類を、普段はあまり意識せずに使っています。
だから、違う基準に出会ったとき、
「えっ、なんでそうなるの?」
と思うことがあるんですね。
こうした「当たり前」の違いは、こちらの記事でも扱っています。
「おやつがいい?シュークリームがいい?」は変な質問?言葉の分類がすれ違う理由
「名前が変わること」と「中身が変わること」は別
もう一つ、考えてみましょう。
例えば、ある会社で、仕事の評価方法が変更されました。
これまでは、処理した仕事の件数を重視していました。
ところが、今度からは、正確さや顧客への対応なども重視するようになりました。
すると、以前は高い評価を受けていた人の点数が、変わるかもしれません。
さて、その人は、突然別人になったのでしょうか。
仕事の仕方が急に変わったとは限りません。
でも、評価の基準が変われば、結果も変わる場合があります。
もちろん、実際の仕事には、改善した方がいいこともあるでしょう。
評価基準の変更が適切だったかどうかも、検討できます。
ただ、ここでは少し分けてみます。
「今回の評価基準では、以前より点数が低くなった」
ということと、
「私は価値のない人間になった」
ということは、同じではありません。
仕事の評価について、話していたはずです。
ところが、いつの間にか、自分という人間全体の評価になっていることがあります。
冥王星が準惑星になったからといって、冥王星の価値が下がったわけではない。
それと同じように、何かの分類や評価が変わったとき、対象そのものに何が起きたのかを分けて見ることができます。
もちろん、人間と天体は違います。
仕事の評価には、人間関係や収入、生活への影響もあります。
だから、冥王星の話だけで、仕事の評価についての問題が解決するわけではありません。
でも、分類と対象そのものを分けて考える入口にはなります。
「そう判断された」と「私はそういう人間だ」は違う
ここからは、そとがわメソッドの観察につなげてみましょう。
例えば、上司から、
「この仕事の進め方は、変えた方がいいね」
と言われたとします。
そのとき、
「今までのやり方は、よくなかったんだ」
と思うかもしれません。
さらに、
「私は仕事ができないんだ」
と思うかもしれません。
そして、
「こんなことで落ち込むなんて、私は弱いな」
と思うかもしれません。
さて、何が起きているのでしょう。
最初に起きたことは、
「上司から仕事の進め方について変更を提案された」
という出来事です。
そこから、
「今までの仕事を否定された」
という意味が生まれたかもしれません。
さらに、
「私は仕事ができない」
という自分への評価が生まれたかもしれません。
その結果、不安や悲しさが出てきたのかもしれません。
そして、落ち込んだ自分を、さらに責めたのかもしれません。
こうして見ると、一つの場面の中で、いろいろなことが起きています。
そとがわメソッドでは、出来事と意味づけ、一次反応、二次反応などを分けて観察します。
ここで大切なのは、
「本当は否定されていないんだから、落ち込むのはおかしい」
と考えることではありません。
実際に上司の言い方が不適切だった場合もあるでしょう。
仕事のやり方を変える必要がある場合もあります。
そのことは、そのこととして考えられます。
一方で、なぜ仕事の進め方についての話が、自分という人間全体の評価につながったのかも見られます。
何が起きると予測したのでしょう。
何が危険になったのでしょう。
なぜ、その反応が必要だったのでしょう。
そうした仕組みを知るための観察です。
「冥王星が惑星ではなくなった」という言葉の中に、何が含まれていた?
さて、もう一度、冥王星の話に戻りましょう。
「冥王星は惑星ではなくなった」
この一文を聞いたとき、どんなことを想像しましたか。
仲間から外された。
格下になった。
以前の知識が間違っていた。
何か残念なことが起きた。
そう感じた人もいるかもしれません。
でも、実際の歴史を見てみると、もっといろいろなことが起きていました。
1930年、冥王星が発見された。
その後、観測技術が進歩した。
冥王星に似た天体が見つかった。
エリスの発見が話題になった。
惑星の定義をどうするかという議論が起きた。
12惑星にする案も発表された。
そして、2006年8月24日、8惑星という定義が採択された。
こうして分けてみると、
「冥王星が惑星ではなくなった」
という短い言葉の中に、たくさんの出来事が含まれていることが分かります。
そして、その出来事を聞いた私たちの中でも、
「降格した」
「かわいそう」
「学校で習ったのに!」
といった意味や反応が生まれる場合があります。
つまり、宇宙で実際に起きていたことと、それを知った人間の中で起きたことは、同じではないんです。
これが、なかなか面白いところだと思います。
冥王星の分類を知ることで、逆に自分たちがどんなふうにものを理解しているのかが見えてくるんですね。
ちなみに、冥王星は今も冥王星です
最後に、もう一度確認しておきましょう。
冥王星は、現在も太陽の周りを回っています。
大きさや軌道などの特徴が、ある日突然変わったわけではありません。
2006年に変わったのは、惑星の定義と分類です。
そして2015年には、ニュー・ホライズンズによって、その複雑な表面の様子まで詳しく観測されました。
冥王星そのものは、今も興味深い研究対象です。
惑星だった頃も。
準惑星になったあとも。
冥王星は、ずっと冥王星だったんです。
一方、私たち人間は、
「9個です!」
「12個になるかもしれません!」
「やっぱり8個です!」
と、分類についての理解を更新してきました。
……何だか、人間の方が忙しそうですねw
でも、それは必ずしも悪いことではありません。
新しいことが分かったら、これまでの理解を見直す。
必要なら、使っている分類を考え直す。
それも、人間が世界を理解しようとする働きの一つです。
そして、そこに気づくと、普段当たり前に使っている言葉についても、少し違う疑問が生まれます。
「普通って、何を基準にしているんだろう?」
「正しいと思ったのは、なぜだろう?」
「その分類は、何を区別するために作られたんだろう?」
こういうことを考えてみると、何気ない日常も、ちょっと面白くなりませんか。
よくある質問
Q. 冥王星が惑星ではなくなったのはいつですか?
2006年8月24日です。国際天文学連合の総会で、太陽系の惑星についての定義が採択され、冥王星は準惑星に分類されました。
Q. なぜ冥王星は惑星から外れたのですか?
冥王星は太陽の周りを回り、ほぼ球形ですが、惑星の定義に含まれる「軌道の周辺で重力的に支配的な存在になっている」という条件を満たしていないためです。
単に小さいから外れたというわけではありません。
Q. 準惑星は、惑星より格下ということですか?
国際天文学連合の定義では、惑星と準惑星は異なるカテゴリーです。
単に格付けの上下を示すものではなく、天体の特徴や軌道の条件に基づく分類です。
Q. 太陽系の惑星は現在いくつありますか?
国際天文学連合の定義では8つです。
水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星です。
Q. 冥王星が再び惑星になる可能性はありますか?
惑星の定義については、現在もさまざまな学術的な議論があります。
ただし、国際天文学連合の正式な分類では、冥王星は現在も準惑星です。
将来の定義がどうなるかは、現時点で断定できません。
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参考資料
- 国立天文台「惑星の定義とは?」
- 国立天文台「惑星定義に関する経緯と解説」(2006年)
- 国立天文台暦計算室「惑星の定義」
- 国際天文学連合「2006年総会の惑星定義決議」
- 国際天文学連合「2006年8月16日の12惑星案」
- 国際天文学連合「Pluto and the Solar System」
- NASA「Pluto: Facts」
- NASA「Kuiper Belt: Facts」
- NASA「New Horizons」
- AstroArts「『太陽系の惑星の定義』への国内の対応始まる」(2006年)
まとめ|「正しい」と思っていたことにも、基準がある
冥王星は、1930年に発見され、長い間、太陽系の9番目の惑星として知られていました。
でも、観測技術の進歩によって、新しい天体が次々に発見されました。
そして2006年、惑星の定義が採択されました。
その結果、冥王星は準惑星に分類されました。
冥王星が消えたわけではありません。
冥王星の価値が下がったわけでもありません。
変わったのは、どんな天体を「惑星」と呼ぶかという分類の基準です。
そして、私たちの日常にも、似たような問いがあります。
何を基準に、普通だと判断しているのでしょう。
何を基準に、正しいと思っているのでしょう。
その基準が変わったとき、自分の中では何が起きるのでしょう。
そとがわメソッドでは、そうした出来事と意味づけ、そこから生まれる反応を観察します。
自分の考えを間違いだと決めるためでもありません。
すべての基準を疑わなければならない、という話でもありません。
なぜ、自分にはそれが当たり前に思えたのか。
その仕組みを知ることができます。
「当たり前」が生まれる仕組みを、もう少し知りたい方へ
冥王星が惑星ではなくなった。
その話を聞いて、
「降格した」
「かわいそう」
「学校で習ったのに」
と感じた人もいるでしょう。
でも、実際に起きたことと、そこに加わった意味は、分けて見ることができます。
日常でも、私たちは同じように、出来事を受け取り、意味を与え、さまざまな反応を経験しています。
そとがわメソッドの無料講座では、そうした人間の認識と反応の仕組みを、身近な具体例から順番に見ていきます。
悩みを抱えている人だけでなく、人間の仕組みそのものに興味がある方にも読んでいただける内容です。
登録は不要です。
興味があれば、0時間目から自由にご覧ください。

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