突然ですが、あなたが今日、3人の占い師に会ったとします。
最初は、西洋占星術の占い師です。
生まれた日時を伝えると、ホロスコープを見ながら、こんな話をされました。
「あなたは、安定した環境を大切にする人ですね」
なるほど。
確かに、慣れた場所は落ち着きます。
次に、四柱推命の占い師に会いました。
すると、今度はこんな説明をされました。
「あなたには、変化に対応する力があるようですね」
……。
あれ?
さっきは安定が好きだと言われませんでしたっけ?
でも、考えてみれば、新しいことを始めるのも嫌いじゃありません。
最後は、数秘術の占い師です。
生年月日を数字に変えて計算してくれました。
すると、
「あなたにとっては、自分を表現することが大切なんですよ」
と言われました。
……。
ちょっと待ってください。
私、3人から3種類の性格を言われているんですけど!?w
さて、ここで質問です。
この人は、いったいどんな人なのでしょう。
安定が好きな人?
変化に強い人?
自分を表現する人?
どれか一つだけが本当なのでしょうか。
それとも、全部当てはまるのでしょうか。
……。
実は、ここが今回の面白いところなんです。
同じ人について、違う説明が生まれることがあります。
でも、その理由を考える前に、まず知っておきたいことがあります。
三つの占術は、そもそも使っている物差しが違うんです。
西洋占星術では、天体の配置。
四柱推命では、干支や陰陽五行。
数秘術では、生年月日や名前から求める数字。
それぞれ違う方法で情報を整理し、その結果に意味を与えます。
同じ人のことを話していても、最初から使っている仕組みが違うわけですね。
今回は、実際に一人の架空の人物を設定して、三つの占術がどんな情報を使うのか比べてみましょう。
そして、そこから生まれる性格の説明についても考えてみます。
ちなみに、冒頭の占い師の言葉は、違いを分かりやすくするために作った例です。実際に同じ人物を三つの占術で鑑定した結果ではありません。
それでは、ちょっと変わった「三つの占い比較」を始めてみましょう。w
まずは、3種類の占いを簡単に比べてみよう
今回登場するのは、この三つです。
西洋占星術。
四柱推命。
数秘術。
名前は聞いたことがあるでしょうか。
テレビや雑誌の星占いで、西洋占星術になじみがある人もいるでしょう。
四柱推命は、東洋の占いとして聞いたことがあるかもしれません。
数秘術は、生年月日や名前から数字を求める占いです。
では、それぞれ何を使って人を説明するのでしょう。
| 比べるところ | 西洋占星術 | 四柱推命 | 数秘術 |
|---|---|---|---|
| 主に使う情報 | 生年月日・出生時刻・出生地 | 生まれた年・月・日・時刻 | 生年月日・名前 |
| 主な記号 | 天体・黄道十二宮・ハウスなど | 十干・十二支・陰陽五行 | 数字 |
| 作成するもの | ホロスコープ(出生図) | 命式 | 数秘術のチャートや各種ナンバー |
| 読み解きの基準 | 天体配置などに与えられた意味 | 干支や五行などの関係 | 数字に与えられた意味 |
さて、こうして並べてみると、何か気づきませんか。
どの占術も、生まれたときの情報を使うことがあります。
でも、同じ情報を、そのまま同じように扱っているわけではありません。
一つは星の配置を調べます。
一つは暦の仕組みを使って干支を割り当てます。
一つは数字を計算します。
……。
同じ人を調べているのに、作業内容がずいぶん違うんです。w
しかも、計算や分類が終わったあと、それぞれの体系の中で、さらに意味を読み解きます。
では、実際にやってみましょう。
今日の主役は、1990年4月25日生まれの人です
今回は、架空の人物を一人用意します。
生まれた情報は、こちらです。
- 生年月日:1990年4月25日
- 出生時刻:午前9時
- 出生地:東京都
名前や性格は決めません。
どんな仕事をしているのかも決めません。
趣味も決めません。
好きな食べ物も分かりません。
分かっているのは、生まれた日時と場所だけです。
さて、ここで考えてみましょう。
この情報から、その人について何が分かるでしょう。
1990年に生まれたこと。
4月25日が誕生日であること。
午前9時に東京で生まれたこと。
それは分かります。
でも、この人が優しいのか、慎重なのか、行動的なのかは、どうでしょう。
まだ何も聞いていないんですけどね。w
では、三つの占術を使うと、どんな説明の材料が出てくるのでしょうか。
① 西洋占星術では、まず天体の配置を調べる
最初は、西洋占星術です。
西洋占星術では、生まれた日時と場所を使って、ホロスコープを作ります。
ホロスコープとは、ある時点の天体の配置を図で表したものです。
人が生まれたときのホロスコープは、出生図とも呼ばれます。
さて、1990年4月25日生まれの人は、一般的な西洋占星術の太陽星座では何座になるのでしょう。
答えは、おうし座です。
では、おうし座には、どんな意味があるとされているのでしょう。
西洋占星術では、安定、継続、感覚的な豊かさなどと結びつけて説明されることがあります。
そのため、仮に、
「あなたは、安定した環境を大切にする傾向があります」
という説明が出てくることもあるでしょう。
……。
なるほど。
最初の占い師の話につながりましたね。
でも、ここで一つ重要なことがあります。
太陽星座がおうし座だからといって、その人の性格全体が分かったわけではありません。
ということです。
西洋占星術では、太陽以外の天体や、ハウス、アスペクトなど、さまざまな要素も使います。
今回の例で分かるのは、一般的な占星術の分類では太陽がおうし座に位置づけられるということです。
そこから、実際の性格がどの程度分かるのかは、別に考える必要があります。
関連記事:ホロスコープとは?同じ誕生日でも読み方が違う理由と、出生図の仕組み
ところで、おうし座って本当に空にいる牛なの?
さて、ここでちょっと寄り道です。
西洋占星術では、おうし座、おひつじ座、ふたご座などの言葉が登場します。
でも、ここで質問です。
星占いのおうし座と、夜空に見えるおうし座は、まったく同じものなのでしょうか。
……。
実は、同じではありません。
国立天文台の暦計算室によると、黄道十二宮は、太陽などの通り道に当たる黄道を30度ずつ、12等分したものです。
つまり、空の一定の領域を、決まった幅で区切っているんです。
一方、実際の星座は、夜空の恒星の位置などに基づいて定められています。
そのため、占星術で使われる十二宮と、現在の天文学で使われる星座の位置は、完全には一致しません。
しかも、その違いには、地球の自転軸の向きが長い年月の間に変わる歳差(さいさ)という現象が関係しています。
……。
占いの話をしていたら、急に地球の自転軸が出てきました。w
面白いですよね。
星座の名前が同じだからといって、占星術の区分と天文学の星座が、いつでも同じものを指しているわけではないんです。
そして、もう一つ。
黄道を12等分するという決まりがあることと、その区分によって人間の性格を正確に説明できることは、別の話です。
空の位置を表す方法がある。
そこに占星術の体系で意味が与えられている。
この二つを、分けて考えることができます。
② 四柱推命では、今度は「干支」が登場する
さて、次は四柱推命です。
西洋占星術では、天体の配置を使いました。
では、四柱推命は何を使うのでしょう。
四柱推命では、生まれた年・月・日・時刻を、干支などの規則によって表します。
その結果を使って、命式(めいしき)というものを作ります。
四柱推命の「四柱」とは、四つの柱という意味です。
年柱。
月柱。
日柱。
時柱。
この四つです。
では、なぜ柱なのでしょう。
それぞれ、生まれた年・月・日・時を表すからです。
そして、一つの柱には、十干と十二支が組み合わされています。
……。
ここで、少し面白いことがあります。
四柱推命は、中国語では「八字(はちじ/バーツー)」とも呼ばれています。
四つの柱なのに、八つの字。
なぜでしょう。
一つの柱が、二つの漢字でできているからです。
四つの柱に、二文字ずつ。
合計で八文字。
なるほど。
四つなのか八つなのか、どっちなの!?と思ったら、どっちもでした。w
こういう名前の理由を知るだけでも、ちょっと楽しいですね。
干支って、ネズミや牛のことだけじゃなかったの?
さて、干支という言葉を聞いて、何を思い浮かべますか。
子。
丑。
寅。
卯。
辰。
巳。
午。
未。
申。
酉。
戌。
亥。
おなじみの十二支ですよね。
でも、ここで意外な話があります。
干支は、十二支だけではありません。
本来は、十干と十二支を組み合わせたものです。
十干は、次の十文字です。
甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸。
十二支は、先ほどの十二文字です。
そして、これらを組み合わせると、60種類の干支になります。
例えば、甲子(きのえね)。
乙丑(きのとうし)。
丙寅(ひのえとら)。
といった具合です。
ちなみに、甲子園の「甲子」も、この干支から来ています。
阪神甲子園球場が完成した1924年は、甲子の年でした。
……。
野球場の名前にまで干支が入っているんです。w
干支って、意外と身近なところにありますよね。
さて、今回の人物は、1990年4月25日生まれです。
1990年は、干支では庚午(かのえうま)の年に当たります。
四柱推命で一般的に用いられる立春を年の境界とする方式でも、この誕生日は立春より後なので、年柱は庚午になります。
ところが、ここから先が面白いところです。
四柱推命では、年だけではなく、月・日・時刻にも干支が割り当てられます。
さらに、陰陽五行の関係などを使って、意味が読み解かれるんです。
えっ、四柱推命では1月1日が新年じゃないの?
さて、ここでもう一つ。
私たちは普段、1月1日になると、
「新しい年になった!」
と思いますよね。
でも、四柱推命では、年の区切りを一般的なカレンダーの1月1日とは違うところに置く方式が広く使われています。
それが、立春です。
立春は、二十四節気の一つです。
例年、2月初め頃に当たります。
つまり、四柱推命では、1月に生まれた人が、一般的な西暦の年とは異なる干支の年に分類されることがあります。
……。
1月生まれなのに、占いの中ではまだ前年なんですか!?w
そういうことがあるんです。
ただし、すべての流派や計算サービスが、完全に同じ取り決めを採用しているわけではありません。
そのため、境界付近の生年月日については、どんな計算規則を使っているのかを確認することが大切です。
ここで、ちょっと考えてみてください。
生まれた瞬間そのものは、変わっていません。
でも、どの暦の区切りを使うかによって、分類が変わる場合があります。
つまり、
同じ出生日時でも、使っている規則が違えば、別の記号が割り当てられることがある。
ということなんです。
この違いは、占いの結果の解釈以前に、計算や分類の段階で生まれるんですね。
四柱推命では、同じ日でも生まれた時間が違うとどうなる?
さて、今回の人物は午前9時生まれです。
でも、もし、午前9時ではなく午後9時に生まれていたら?
どうなるのでしょう。
四柱推命では、時刻も命式を作るための情報として使います。
一日を一定の時間帯に分け、それぞれに十二支を割り当てます。
そして、日干との関係などによって、時柱の干支を決めます。
そのため、同じ日に生まれても、出生時刻が違えば、時柱が変わる場合があります。
ただし、時刻の扱い方には、流派や計算方法による違いもあります。
例えば、時計に表示された時刻だけを使うのか。
出生地による時刻の補正を考慮するのか。
日付の切り替わりをどこに置くのか。
そうしたことでも、境界付近では結果が変わる場合があります。
ここで、ちょっと面白いことがあります。
私たちは、
「1990年4月25日生まれです」
と言うだけでも、十分詳しく説明した気分になりますよね。
でも、四柱推命では、
「何時に生まれましたか?」
という質問が続くんです。
さらに、計算方法によっては、出生地まで重要になります。
……。
誕生日を聞かれただけかと思ったら、ずいぶん細かい情報が必要なんですね。w
ちなみに今回の記事では、四つの柱すべてを計算した命式の鑑定は行いません。
四柱推命がどのような情報を使い、どのように記号を割り当てるのかという仕組みを比較しています。
関連記事:陰陽五行とは?木・火・土・金・水の意味と四柱推命との関係
③ 数秘術では、生年月日を数字にして足してみる
さて、三つ目の占いです。
今度は、数秘術です。
西洋占星術では、星の配置を使いました。
四柱推命では、干支を使いました。
では、数秘術はどうでしょう。
数秘術では、生年月日や名前から数字を求め、その数字に象徴的な意味を与えます。
いくつかの体系がありますが、現代の西洋数秘術でよく知られているものの一つが、ライフパスナンバーです。
生年月日の数字を足して求めるものです。
では、実際にやってみましょう。
今回の架空の人物は、1990年4月25日生まれでしたね。
まず、生まれた年を計算します。
1+9+9+0=19。
1+9=10。
1+0=1。
ということで、年の数字は「1」です。
次に、生まれた月。
4月なので「4」です。
次に、生まれた日。
25日です。
2+5=7。
日付の数字は「7」です。
最後に、三つを合計します。
1+4+7=12。
1+2=3。
ということで、今回紹介する計算方法では、ライフパスナンバーは、
3
になります。
……。
おお、出ましたね!w
ただし、数秘術には複数の計算上の取り決めがあります。
特に11・22・33などをどの段階で残すかといった違いにより、計算結果の扱い方が異なる場合があります。
今回は、年・月・日をそれぞれ計算してから合計する方式を使いました。
参考:Numerology.com「Life Path Number: How to Calculate and Its Meaning」
数字の「3」には、どんな意味があるの?
さて、数秘術の体系では、1から9などの数字に、それぞれ象徴的な意味が割り当てられています。
例えば、現代の西洋数秘術では、
「3」は、表現力や創造性、コミュニケーションなどと結びつけられることがあります。
そのため、数秘術の説明では、
「あなたは、自分の思いや考えを表現することが大切な人ですね」
というような解釈が出てくるかもしれません。
……。
あれ?
三人目の占い師が言っていた話につながりましたね。
でも、ここで質問です。
どうして、数字の3が、創造性を表していることになるのでしょう。
数字の3から、数学的に創造性が計算されたのでしょうか。
……そうではありません。
生年月日を足すと3になることは、計算の結果です。
でも、その3に創造性という意味を与えることは、数秘術の体系内で行われる解釈です。
つまり、
計算によって「3」が出てきたこと。
その「3」を創造性と結びつけること。
この二つは、同じではないんです。
例えば、数字の3が出てきたからといって、その人が創造的な仕事をしているかどうかまで分かるのでしょうか。
実際には、その人について、まだ何も聞いていません。
だから、数字に割り当てられた意味と、本人の実際の特徴は、別に確認する必要があるんですね。
数秘術では、名前まで数字に変えてしまう?
さて、数秘術には、もう一つ面白いものがあります。
名前を数字に変えるという方法です。
現代の西洋数秘術の一部では、アルファベットの文字に数字を割り当てます。
例えば、AからIまでを1から9に対応させるなど、一定の規則を使います。
そして、名前の文字を数字に変え、合計するんです。
……。
名前が、計算問題になりました。w
例えば、英語の名前なら、アルファベットを使って計算できます。
では、日本語の名前はどうでしょう。
漢字で書く場合があります。
平仮名の場合もあります。
アルファベットに直すときにも、複数の表記方法が考えられます。
例えば、「し」を「SHI」と書くか、「SI」と書くかによって、文字の並びが違ってきますよね。
では、どの表記を使うのでしょう。
これは、数秘術の流派や方法によって、取り決めが必要になります。
ここでも、面白いことがあります。
本人は、同じ人です。
名前も、同じ名前として使っています。
でも、数字に変えるための表記方法が違えば、計算に使う文字が変わる場合があります。
つまり、
数字を求める前に、どんな規則を使うかを決める必要があるんです。
そして、その結果に、さらに意味が加わります。
参考:Numerology.com「Your Name Numerology」
ここまでで、同じ人は何回変身したのでしょう?
さて、ここで、三つの占術をまとめてみましょう。
今回の人物は、
1990年4月25日。
午前9時。
東京都生まれ。
でしたね。
では、何が出てきたでしょう。
| 占術 | 今回確認した分類・計算 | その体系内での解釈の例 |
|---|---|---|
| 西洋占星術 | 太陽星座はおうし座 | 安定、継続、感覚的な豊かさなど |
| 四柱推命 | 年柱は庚午。年・月・日・時を干支で表す | 陰陽五行や各柱の関係を使って読み解く |
| 数秘術 | ライフパスナンバーは3 | 表現、創造性、コミュニケーションなど |
※表は三つの体系の違いを示したものです。全出生図や全命式に基づく実際の鑑定結果ではありません。
さて、ここで質問です。
この人、何か変わりましたか?
……。
何も変わっていませんよね。w
生まれた日時も同じです。
出生地も同じです。
最初から最後まで、同じ人物です。
でも、使う体系によって、違う情報が出てきました。
そして、その情報について、違う説明が生まれています。
つまり、
同じ人なのに、どんな方法で分類するかによって、出てくる説明が変わる。
ということなんです。
ここ、今回の記事の一番面白いところだと思いませんか。
同じ人なのに、物差しが違うと説明が変わる
では、もう少し分かりやすい例を考えてみましょう。
あなたの身長を測るとします。
身長は、160センチでした。
次に、体重を測ります。
体重は、60キロでした。
さらに、靴のサイズを測ります。
靴のサイズは、24センチでした。
さて、ここで質問です。
どれが、本当のあなたでしょう。
身長160センチのあなた?
体重60キロのあなた?
靴のサイズ24センチのあなた?
……。
全部、同じ人ですよね。w
もちろん、身長や体重、靴のサイズは物理的に測定できる量です。
占術の解釈と同じものではありません。
ただ、ここで考えたいことがあります。
どこに注目するかによって、同じ人についての説明が違うことがあります。
そして、どんな説明でも、その人のすべてを表しているわけではありません。
例えば、身長を測っても、好きな食べ物は分かりません。
靴のサイズを測っても、仕事への考え方は分かりません。
では、占術の場合はどうでしょう。
西洋占星術では、天体の配置を使います。
四柱推命では、干支の組み合わせを使います。
数秘術では、数字を使います。
そして、それぞれの体系で人について説明しようとします。
ただし、ここで注意したいのは、分類の仕組みがあることと、そこで生まれた性格の説明が実際に正確であることは、別だという点です。
同じ人を違う物差しで見ることはできます。
でも、その物差しが何を正確に測っているのかは、別に確かめる必要があります。
「安定が好き」と「変化が好き」は、矛盾している?
さて、最初の三人の占い師に戻りましょう。
一人目は、安定を大切にする人だと言いました。
二人目は、変化に対応する力があると言いました。
さて、どちらが正しいのでしょう。
ここで、ちょっと想像してみてください。
ある人は、毎日の朝食が決まっています。
いつも同じパン。
いつも同じコーヒー。
いつも同じ席。
「これが落ち着くんだよね」
と思っています。
さて、その人は、安定が好きなのでしょうか。
……そうかもしれません。
でも、その人は、旅行が大好きです。
知らない国へ行きます。
初めて食べる料理にも挑戦します。
見たことのない景色を楽しみます。
さて、変化が好きなのでしょうか。
……そうかもしれません。
朝ごはんは固定なのに、旅行先では冒険家なんです。w
では、この人は、安定が好きなのでしょうか。
変化が好きなのでしょうか。
両方の場面がある、と考えられますよね。
もちろん、だからといって、占い師の説明が必ず正しいことにはなりません。
今の例は、人の行動が場面によって変わることを考えるためのものです。
大切なのは、「安定が好き」という言葉だけでは、何についての話なのか分からない場合があるということです。
毎日の生活でしょうか。
仕事でしょうか。
人間関係でしょうか。
経済的なことについてでしょうか。
そうした条件を確かめないままでは、本当に矛盾しているかどうかも判断しにくいんです。
仕事では慎重、趣味では大胆。それってどんな性格?
では、別の人を考えてみましょう。
この人は、仕事ではとても慎重です。
書類を提出する前に、何度も確認します。
期限を守るために、早めに準備します。
ミスが起きないように、チェックリストも作ります。
でも、趣味になるとどうでしょう。
突然、
「明日、海へ行こう!」
と言い出します。
新しい趣味にも、すぐ挑戦します。
初めてのイベントにも、楽しそうに参加します。
さて、この人は慎重なのでしょうか。
行動的なのでしょうか。
……。
仕事と趣味で、別人のようですね。w
でも、同じ人です。
なぜ、違う行動をするのでしょう。
仕事では、何かを間違えると困るからかもしれません。
趣味では、失敗することも楽しめるのかもしれません。
誰と一緒にいるかが関係するのかもしれません。
そのとき何を大切にしているかによっても違うでしょう。
ここで考えられることがあります。
「慎重な人」
という言葉は便利です。
でも、その人がいつでも慎重に行動するという意味ではないかもしれません。
そして、
「行動的な人」
という言葉も、その人のすべての場面を表すとは限りません。
同じ人でも、場面によって違う行動が必要になる場合がある。
そんなことがあるんですね。
では、占いの説明が違っても、全部当たっていることがある?
さて、ここで気になることがあります。
三人の占い師から、違う説明を聞きました。
でも、
「確かに、どれも当たっている!」
と思いました。
さて、それは、三つの占術がすべて正確に性格を読み取ったという意味なのでしょうか。
……。
そうとは限りません。
心理学では、一般的な性格の説明でも、自分だけに特別に当てはまるもののように感じることが研究されています。
これは、バーナム効果と呼ばれています。
例えば、こんな説明です。
「あなたは、人とのつながりを大切にする一方で、一人の時間も必要としています」
さて、どうでしょう。
当たっているように感じませんか。
一人で過ごすのが好きな日もあります。
誰かと楽しく過ごしたい日もあります。
両方の経験がある人なら、当てはまると感じるかもしれません。
では、次の説明はどうでしょう。
「あなたは、自信があるように見えて、時々自分に自信が持てなくなることがあります」
……。
これも、何となく当てはまりそうですよね。
自信があるときもあります。
不安なときもあります。
つまり、たくさんの人に当てはまり得る説明なのに、自分だけに特別な説明のように感じることがあるんです。
もちろん、占いの説明がすべてこうした内容だという意味ではありません。
でも、「当たっている」と感じる仕組みを考えるうえで、重要な心理現象の一つなんですね。
参考:日本心理学会「占いが当たっているように感じるのはなぜ?」
「当たっている!」と思ったとき、何を思い出している?
さて、もう一つ面白い研究があります。
日本心理学会の解説では、占いが当たったと感じる理由として、占いの内容に合う出来事を思い出しやすくなることも紹介されています。
例えば、占いで、
「あなたは、新しいことに挑戦する力があります」
と言われました。
さて、どうでしょう。
初めて一人旅に出かけた日のことを思い出すかもしれません。
新しい仕事を始めた日のことを思い出すかもしれません。
何かに挑戦して、うまくいった経験を思い出すかもしれません。
すると、
「そうそう! 私、そういうところある!」
と思うかもしれません。
では、反対に、挑戦しなかった日のことはどうでしょう。
何となく面倒で、家にいた日。
新しいことを始めようと思ったけれど、やめた日。
失敗するのが嫌で、見送った日。
……。
そういう経験もあったかもしれませんよね。
でも、占いの言葉を聞いたときには、挑戦した日のことばかり思い出したとします。
すると、
「自分は挑戦する人間だ」
という説明が、より強く感じられる場合があります。
こうした現象には、確証バイアスなどの認知の働きが関係することがあります。
ここで分けておきたいことがあります。
当たっていると感じたこと。
実際に、その説明が正確だったこと。
この二つは、同じではありません。
そして、この区別は、占いに限らず、私たちが日常で人を理解するときにも関係してくるんです。
では、占星術は科学的に性格を説明できるの?
さて、ここで少し研究の話です。
西洋占星術では、天体の位置を計算することがあります。
その計算には、天文学の知識が関係します。
では、その計算が正確なら、人の性格も正確に分かるのでしょうか。
……。
ここは、別の問題です。
天体の配置を正しく求めることと、その配置から人の性格を正確に判断できることは、同じではありません。
実際に、1985年には、Shawn Carlsonによる、西洋占星術を検証する研究が学術誌『Nature』に発表されています。
この研究では、占星術の出生図による性格判断が、偶然を超える正確さを示すかどうかを、二重盲検法を使って調べました。
二重盲検法とは、結果への期待などが影響しにくいように、情報を制限して行う研究方法です。
さて、結果はどうだったのでしょう。
この研究では、占星術家による性格判断が偶然を超えて正確だという主張を支持する結果は得られませんでした。
ただし、これは西洋占星術の出生図による性格判断について調べた特定の研究です。
これ一つで、あらゆる占術のすべての主張を検証したことになるわけではありません。
それでも、少なくとも、
「天体の位置を正確に計算しているから、性格判断も正しい」
という結論にはならないことが分かります。
計算が正しいことと、そこから生まれる説明が正しいことは、別に確認する必要があるんですね。
参考:Carlson(1985)「A double-blind test of astrology」
四柱推命と数秘術も、計算が合えば性格が分かる?
さて、同じことを四柱推命と数秘術でも考えてみましょう。
四柱推命では、生年月日や出生時刻を、干支の組み合わせに変えます。
その計算は、採用した暦法や規則に従って確認できます。
では、干支が正確に割り当てられたら、その人の性格も正確に分かったことになるのでしょうか。
……別の問題ですよね。
数秘術でも同じです。
1990年4月25日生まれの人について、今回紹介した方式では、数字の3が求められました。
この計算は、確かめられます。
でも、数字の3が出たことと、その人に創造性があるかどうかは、同じではありません。
例えば、学校で数学のテストを受けたとします。
「1+2=3」
これは、正しい計算です。
でも、
「だから、この人は創造的な性格です」
という結論には、その計算だけではつながりませんよね。
……。
足し算は正しい。でも性格までは、足し算に書いてありません。w
ここを分けて考えると、占術の仕組みをより理解しやすくなります。
それぞれの体系には、計算や分類の方法があります。
そして、分類されたものに、象徴的な意味が与えられています。
さらに、その意味を使って、人について説明しようとします。
では、その説明が実際にどれくらい正確なのか。
そこは、独立した検証が必要なんです。
「3種類の占いが同じことを言ったら、正しい」ということ?
さて、ここでもう一つ。
三種類の占いを受けました。
西洋占星術では、
「あなたは、慎重な人です」
と言われました。
四柱推命でも、
「あなたは、慎重なところがあります」
と言われました。
数秘術でも、
「あなたは、物事をじっくり考える傾向があります」
と言われました。
……。
3人とも同じことを言っています!
さて、これなら正しいのでしょうか。
ここで、少し考えてみましょう。
三つの説明が似ていることは分かります。
でも、三つとも同じように正確なのかどうかは、まだ分かりません。
例えば、「慎重」という言葉は、幅広い場面に当てはまる場合があります。
買い物では慎重。
仕事でも慎重。
でも、趣味では大胆。
そんな人もいるでしょう。
そして、「慎重」という言葉の意味が曖昧なままだと、三つの説明がどれくらい一致しているのかを判断しにくい場合もあります。
逆に、非常に具体的な同じ条件について、三つの占術が独立に正確な予測を行ったのなら、検証する価値はあるでしょう。
でも、その場合でも、三つの結果が似ているというだけで、正確さが証明されたことにはなりません。
何を予測したのか。
どのように一致したのか。
偶然でも起こり得るのか。
そうしたことを調べる必要があります。
つまり、同じ答えが出たことと、その答えが本当に正しいことは、別の話なんですね。
では、三つの占いが違う答えを出したら、全部間違い?
さて、反対の場合も考えてみましょう。
三人の占い師が、それぞれ違うことを言いました。
一人は慎重。
一人は行動的。
一人は自由を大切にする。
さて、これで全部間違いなのでしょうか。
……。
これも、その言葉が何を指しているのかによります。
例えば、実際の人間には、さまざまな場面があります。
仕事では慎重。
趣味では行動的。
休日は自由に過ごしたい。
そんなこともあるでしょう。
その場合、三つの言葉は、必ずしも同じ場面について矛盾しているわけではありません。
ただし、ここで注意したいことがあります。
「人間にはいろいろな面があるから、どんな説明でも当たっている」
という結論になるわけでもありません。
もし、
「あなたは、必ずこの日に転職します」
という具体的な予測があったとします。
では、実際にその日に転職したのでしょうか。
これは、確認できますよね。
そして、別の占いが、
「あなたは、絶対にその日に転職しません」
と予測したなら、両方が同じ条件で正しいとは言えないでしょう。
つまり、
どんな説明でも、都合よく正しいことにしてしまわない。
ということも大切です。
違う言葉が出たら、それぞれ何を説明しているのかを確認する。
必要なら、実際にどうだったのかを確かめる。
そこまで含めて考えると、より面白くなるんです。
そもそも「性格」って、一言で説明できるものなの?
さて、ここまで来ると、もう一つ大きな疑問が生まれます。
人間の性格って、一言で説明できるのでしょうか。
例えば、
「優しい人」
という言葉があります。
さて、誰に対して優しいのでしょう。
家族?
友人?
職場の人?
知らない人?
動物?
あるいは、自分自身?
……。
いろいろありますよね。
では、「優しい人」は、いつでも優しく行動するのでしょうか。
怒ることはないのでしょうか。
相手に断ることはないのでしょうか。
自分の意見を伝えることはないのでしょうか。
もちろん、そんなことはありませんよね。
「優しい人」という説明は、その人の特徴を表しているかもしれません。
でも、その人のすべての行動を説明したわけではないでしょう。
同じように、
「慎重な人」
「行動力がある人」
「自由な人」
「真面目な人」
という言葉があります。
どれも、何らかの特徴を表すときに便利です。
でも、実際の人間は、一つの言葉では説明しきれないほど、いろいろな場面で行動しています。
だから、誰かについて説明するときには、
「どんな場面で?」
「どんな行動について?」
ということを考えると、もっと詳しく知ることができるんです。
「私はこういう性格」と知ったら、何が変わる?
さて、ここから少し、別の面白さがあります。
今回の人物は、三つの占いを受けました。
そして、
「私は安定を大切にする人なんだ」
という説明を聞きました。
さて、そのあと、何が起こるでしょう。
例えば、新しい仕事に挑戦する話が出てきたとします。
そのとき、
「私は安定を大切にする人だから、やめておこうかな」
と思ったとします。
さて、ここで何が起きているのでしょう。
占いを受ける前、その人は、自分の性格について特にそう考えていなかったかもしれません。
でも、占いで説明を聞きました。
そして、
「私は安定を大切にする人間だ」
という認識が生まれました。
そのあと、仕事を選ぶときにも、その説明を使ったのかもしれません。
自分について聞いた説明が、その後の選択に関係することがある。
ということです。
もちろん、いつもそうなるわけではありません。
単に、
「へえ、そうなんだ」
と思って終わる場合もあるでしょう。
でも、もし、その説明によって行動が変わったなら?
そこにも、人間の認識の仕組みが関係しているかもしれません。
「私は安定が好きなはず」と思ったら、変化が怖くなる?
さて、もう少し考えてみましょう。
占いで、
「あなたは安定を大切にする人です」
と言われました。
その説明を、自分についての正しい説明だと思ったとします。
では、ある日、新しいことに挑戦したくなったらどうでしょう。
「面白そう!」
と思いました。
でも、次に、
「あれ? 私は安定を大切にする人のはずなのに」
と思いました。
さらに、
「こんなことをしたら、失敗するんじゃないかな」
という不安が生まれたとします。
……。
面白そう!と思っただけなのに、もう失敗の心配をしています。w
さて、ここで何が起きたのでしょう。
新しいことに興味を持ちました。
そのあと、
「私は安定を大切にする人」
という説明を思い出しました。
そして、その説明に合わない行動をしようとしていると感じたのかもしれません。
さらに、
「自分の性格に合わないことをすると、失敗する」
という意味が加わったとします。
すると、挑戦したい気持ちとは別に、不安が生まれる場合があります。
でも、ここで一つ分けて考えられます。
占いでそう説明されたこと。
実際に新しいことに興味を持ったこと。
そして、その挑戦が失敗するかどうか。
これらは、全部同じではありません。
説明を知ることと、その説明どおりに生きなければならないことは、別の話なんです。
「私は優柔不断だから」と言うと、何が起きる?
さて、今度は占いではなく、日常の話です。
友人とランチに行きました。
メニューを見ています。
パスタ。
カレー。
ハンバーグ。
どれもおいしそうです。
「うーん、どれにしよう」
と迷いました。
そこで、
「私、優柔不断だからさ」
と言ったとします。
さて、ここで何が起きているのでしょう。
最初は、三つのメニューの中から決めかねていました。
でも、そこから、
「私は優柔不断な人間だ」
という説明が生まれています。
では、本当に、何でも決められないのでしょうか。
そんなことはないかもしれません。
服はすぐに決められるかもしれません。
旅行先はすぐに決めるかもしれません。
仕事のことは、迷わず判断するかもしれません。
でも、ランチのメニューだけは迷う。
……。
それ、単に全部おいしそうなだけかもしれませんよね。w
さて、ここで考えてみましょう。
「優柔不断」
という言葉は便利です。
でも、その言葉を使うことで、実際に何が起きているのかを、ひとまとめにしてしまう場合があります。
おいしそうなものが複数あるからでしょうか。
値段を比較しているからでしょうか。
失敗したくないからでしょうか。
誰かの希望を優先しようとしているからでしょうか。
理由は、いろいろ考えられます。
そして、実際にはその場で何が起きているのかを見る必要があります。
性格の名前をつけることと、そのとき起きていることを知ることは、同じではないんです。
そとがわメソッドでは、「性格の説明」をどう見るの?
ここからは、占術そのものの説明とは分けて、そとがわメソッドの視点から考えてみましょう。
例えば、占いで、
「あなたは、人に合わせすぎる性格です」
と言われたとします。
さて、どう感じるでしょう。
「そうなんだ!」
と思うかもしれません。
「確かに、そういうところがあるな」
と思うかもしれません。
一方、
「だから私はダメなんだ」
と思うかもしれません。
さて、ここで何が起きていたのでしょう。
まず、
「あなたは、人に合わせすぎる性格です」
という言葉を聞きました。
そこから、
「人に合わせることは、よくないことなのかもしれない」
という意味が生まれたとします。
さらに、
「私は、この性格を直さなければならない」
と思ったとします。
そして、
「直せなかったら、また人に嫌われるかもしれない」
という予測が生まれたとします。
その結果、不安になった。
こうしたことが起きる場合があります。
では、そもそも、なぜ人に合わせていたのでしょう。
相手との関係を大切にしたかったのでしょうか。
争いを避けたかったのでしょうか。
相手を喜ばせたかったのでしょうか。
自分にとって、そうする必要があったのでしょうか。
実際の理由は、その人の状況を見なければ分かりません。
でも、少なくとも、
「私は、人に合わせすぎるダメな人間なんだ」
という説明で終わらず、その行動や反応が必要になった仕組みを観察することはできるんです。
「人に合わせすぎる」は、本当に悪いこと?
さて、もう一つ考えてみましょう。
人に合わせること。
これって、いつでも悪いことなのでしょうか。
例えば、友人と旅行へ行きます。
友人が、
「今日は海に行きたい!」
と言いました。
あなたは、
「いいね! 私も行きたい!」
と思いました。
そこで、一緒に海へ行きました。
さて、相手に合わせたのでしょうか。
ある意味では、そうかもしれません。
でも、あなた自身も行きたいと思っています。
では、別の場面です。
友人が、
「今日は海に行きたい!」
と言いました。
でも、あなたは体調が悪く、休みたいと思っていました。
それでも、
「断ったら嫌われるかもしれない」
と思って、無理をして行ったとします。
さて、これも相手に合わせた行動です。
でも、最初の例とは、何か違いますよね。
同じ「合わせる」でも、そのとき自分の中で何が起きていたかが違うんです。
一つ目は、一緒に楽しみたいという気持ちだったかもしれません。
二つ目は、嫌われることを危険と判断した反応だったかもしれません。
もちろん、実際にはもっと複雑なこともあるでしょう。
でも、ここで分かることがあります。
「人に合わせる人」という説明だけでは、その行動が必要になった理由までは分からないんです。
だからこそ、そとがわメソッドでは、その場で実際に何が起きているのかを観察します。
同じ占いの言葉でも、受け取る人によって反応が違う
さて、ここで、二人の人を想像してみましょう。
二人とも、占いで、
「あなたは、慎重なところがありますね」
と言われました。
一人目は、嬉しくなりました。
「そうなんです! いつも丁寧に考えるようにしているんですよ」
と言いました。
もう一人は、少し落ち込みました。
「やっぱり、私は行動力がないんですよね……」
と言いました。
……。
同じ「慎重」という言葉なのに、ずいぶん反応が違いますね。w
さて、なぜでしょう。
一人目は、慎重であることを、よい特徴だと感じていたのかもしれません。
もう一人は、慎重であることを、行動できないことと結びつけていたのかもしれません。
もちろん、本当の理由は分かりません。
でも、同じ言葉を聞いても、同じ反応になるとは限らないんです。
では、そこで何が違っていたのでしょう。
言葉そのものは、同じです。
でも、その言葉に、どんな意味を持っているのかが違うのかもしれません。
そして、その意味から、どんな未来を予測しているのかも違うのかもしれません。
ここに、人間の認識の面白さがあります。
同じ説明でも、その人の中でどんな意味になったのかによって、反応が変わる場合がある。
ということなんです。
「あなたは自由な人です」と言われたら、嬉しい?
さて、ここで、ちょっとした質問です。
占いで、
「あなたは、自由を大切にする人です」
と言われました。
さて、嬉しいでしょうか。
……。
どうでしょう。
ある人は、
「そのとおり! 自由が大好き!」
と思うかもしれません。
でも、別の人は、
「自由って、何をすればいいんだろう」
と思うかもしれません。
また別の人は、
「自由に生きているつもりだったけど、今は全然自由じゃない」
と、少し苦しくなるかもしれません。
さて、同じ言葉です。
でも、そこから生まれる体験が違います。
では、「自由」という言葉を聞いたとき、その人は何を思い浮かべたのでしょう。
好きなことができること?
誰にも指図されないこと?
経済的に自立していること?
自分で選べること?
あるいは、人間関係の負担がないことでしょうか。
……。
同じ「自由」という言葉なのに、思い浮かべているものが違うんです。
だからこそ、
「あなたは自由な人です」
という言葉が、自分にどんな意味で届いたのかを見てみると、面白いかもしれません。
そして、その意味によって、嬉しさや苦しさが生まれる場合があります。
占いの言葉を知ると、自分を知ったことになる?
さて、ここまで来ると、もう一つ疑問が生まれます。
占いで、
「あなたは安定を大切にする人です」
と言われました。
その説明が、自分によく当てはまると感じました。
では、それで自分のすべてが分かったのでしょうか。
……。
そうとは限りませんよね。
例えば、安定を大切にするとしても、
「どんなときに安定が必要なのか」
ということは、別の問題です。
仕事でしょうか。
人間関係でしょうか。
生活環境でしょうか。
それとも、未来が分からないときでしょうか。
さらに、
「安定が失われそうになると、何が起きるのか」
ということも考えられます。
不安になるのでしょうか。
行動を慎重にするのでしょうか。
何度も確認するのでしょうか。
あるいは、逆に思い切って環境を変えるのでしょうか。
実際には、いろいろな場合があるでしょう。
つまり、
「私は安定を求める人」という名前を知ることと、安定が必要になったときの仕組みを知ることは、同じではないんです。
そして、ここで、そとがわメソッドの観察につながります。
その行動が必要になったのは、なぜでしょう。
何を危険と判断したのでしょう。
何を守ろうとしていたのでしょう。
そうしたことを見ていくことで、性格の分類だけでは分からなかったことが見えてくるかもしれません。
「こういう人間だから」で話を終わらせなくてもいい
さて、もう少し身近な話をしてみましょう。
友人から、
「今度、みんなで旅行へ行こうよ!」
と誘われました。
でも、あなたは迷いました。
行きたい気持ちもあります。
でも、不安もあります。
そこで、
「私は、こういう性格だからさ」
と言ったとします。
さて、その性格とは何でしょう。
慎重だから?
人見知りだから?
変化が苦手だから?
集団行動が苦手だから?
……。
いろいろな説明が考えられます。
でも、もし実際に観察してみたら?
旅行先は、楽しそうです。
友人と行くことも、嬉しいです。
でも、費用が心配でした。
あるいは、仕事を休むことが難しかったのかもしれません。
初めての場所で迷うことが、怖かったのかもしれません。
自分の体力に不安があったのかもしれません。
さて、こうして見ると、どうでしょう。
「私は慎重な性格だから」
という一言で説明していたものの中に、いろいろな条件が含まれているかもしれません。
性格の名前では見えなかった、具体的なことが見えてくるんです。
そして、その条件が分かれば、次にどうするかを考えることもできます。
旅費が問題なら、予算を考える。
仕事が問題なら、日程を調整する。
体力が問題なら、無理のない計画にする。
そうした選択ができるかもしれません。
ここで大切なのは、無理に旅行へ行くことではありません。
行かないという選択もできます。
ただ、
「私は、こういう人間だから」
という一つの説明だけで終わらせず、その場で何が起きているのかを知ることができるんですね。
占いは、当たる・外れる以外にも楽しめる?
さて、ここまで占術の違いを見てきました。
では、占いを楽しむことには、どんな意味があるのでしょう。
例えば、西洋占星術では、黄道十二宮や天体の配置について知ることができます。
四柱推命では、干支や陰陽五行、二十四節気など、古い暦の仕組みに触れられます。
数秘術では、数字にどのような象徴的な意味が与えられてきたのかを知ることができます。
それぞれ、歴史や文化があるんです。
そして、占いで出てきた言葉をきっかけに、自分のことを考えることもできます。
例えば、
「あなたは自由を大切にする人です」
と言われたとします。
そこで、
「当たっている!」
と楽しむこともできるでしょう。
でも、
「私にとって自由って、何だろう?」
と考えてみることもできます。
「自由がない」と感じたことは、あるでしょうか。
そのとき、何が起きていたのでしょう。
何を大切にしていたのでしょう。
そして、なぜ自由が必要だったのでしょう。
そんなふうに考えることもできます。
もちろん、そこから何かに気づいたとしても、占術の性格判断が科学的に正確だったと証明されたことにはなりません。
でも、占いの言葉をきっかけに、自分の経験を考えてみるという楽しみ方はあるでしょう。
「信じる」と「楽しむ」と「検証する」は、別のこと
さて、ここで少し整理してみましょう。
占いについて、いろいろな人が、いろいろな考えを持っています。
占いを信じている人もいるでしょう。
あまり信じていない人もいるでしょう。
単純に楽しんでいる人もいるでしょう。
仕組みそのものに興味がある人もいるかもしれません。
さて、ここで分けて考えられることがあります。
占いの体系を知ること。
占いの結果を楽しむこと。
その結果を、自分に当てはまると感じること。
そして、実際に正確な説明ができているかどうかを検証すること。
これらは、同じではありません。
例えば、西洋占星術の歴史に興味がある人がいたとします。
その人は、星の配置や黄道十二宮について知ることが楽しいのかもしれません。
でも、必ずしも占いで未来が予測できると信じているわけではないかもしれません。
一方、四柱推命が好きな人は、干支や陰陽五行の組み合わせを調べることが楽しいのかもしれません。
数秘術が好きな人は、数字に与えられている意味について考えることが面白いのかもしれません。
そして、誰かが占いを受けて、
「何だか元気が出た!」
と感じることもあるでしょう。
それは、その人の中で起きた体験です。
ただし、そのことと、占いの説明が実際に正確だったかどうかは、別に確認する必要があります。
好きだからといって、すべてを事実として受け取る必要はない。
検証するからといって、好きな人を否定する必要もない。
そう考えると、占いの話も、ずいぶん広がってきませんか。
そもそも、自分についての説明はいくつあるんだろう?
さて、ここで、もう一つ考えてみましょう。
私たちは普段、自分について、どんな説明を使っていますか。
「私は真面目だから」
「私は人見知りだから」
「私は飽きっぽいから」
「私は、こういう性格だから」
そんな言葉を使うことがありますよね。
でも、自分についての説明は、本当に一つなのでしょうか。
例えば、家族といるとき。
職場にいるとき。
友人といるとき。
一人で過ごしているとき。
それぞれ、違う行動をしているかもしれません。
そして、その違いには、さまざまな理由があるでしょう。
相手との関係。
その場の状況。
自分が大切にしていること。
避けたいこと。
これまでの経験。
そうしたものが関係しているかもしれません。
では、自分について、
「私は、こういう人間です」
という一つの説明を持つことと、自分の中で何が起きているのかを知ることは、同じでしょうか。
……。
考えてみると、少し違うかもしれませんよね。
一つの説明で、自分のすべてを決める必要はありません。
そして、違う行動をしたからといって、
「本当の自分と違う!」
と考える必要もないかもしれません。
そのとき、その行動が必要になった理由を知ることができるからです。
三つの占いから分かる、人間の認識の面白さ
さて、ここまでの話を、最後にもう一度整理してみましょう。
今回の人物は、1990年4月25日生まれでした。
西洋占星術では、天体の配置を使いました。
四柱推命では、干支や陰陽五行を使いました。
数秘術では、生年月日を数字として計算しました。
そして、それぞれの体系では、異なる意味が与えられています。
さて、何が変わったのでしょう。
本人が変わったわけではありません。
生まれた日時も変わっていません。
でも、どの仕組みを使って分類するかによって、説明が変わりました。
さらに、その説明を聞いた本人が、
「私は、こういう人間なんだ」
と考えるようになったとします。
すると、自分についての認識が変わる場合があります。
そこから、嬉しくなったり、不安になったりする場合もあるでしょう。
また、その説明を使って、何かの行動を選ぶこともあるかもしれません。
つまり、今回の話には、いろいろな段階があるんです。
生まれた日時があります。
占術の計算や分類があります。
その体系での解釈があります。
本人がその説明を聞きます。
そこから、本人の中に意味や反応が生まれる場合があります。
……。
占い師が話した言葉が、その人の中で新しい「私」になることもあるのかもしれません。
ここ、すごく面白いと思いませんか。
もちろん、いつでもそうなるわけではありません。
でも、自分についての説明を聞いたとき、自分の中では何が起きているのか。
それを考えるきっかけになります。
最初の三人の占い師に戻ってみましょう
さて、最初の場面に戻ります。
一人目の占い師が言いました。
「あなたは、安定を大切にする人ですね」
二人目の占い師が言いました。
「あなたには、変化に対応する力がありますね」
三人目の占い師が言いました。
「あなたにとっては、自分を表現することが大切なんですよ」
さて、今回の記事を読む前なら、
「結局、どれが本当なの?」
と思ったかもしれません。
でも、今なら、少し違うことが気になるかもしれません。
そもそも、それぞれ何を使って説明したのでしょう。
どんな規則で分類したのでしょう。
その分類に、どんな意味が与えられているのでしょう。
実際の本人について、どこまで確認できているのでしょう。
そして、もう一つ。
その説明を聞いた本人の中では、何が起きたのでしょう。
嬉しかったでしょうか。
安心したでしょうか。
不安になったでしょうか。
新しいことに挑戦したくなったでしょうか。
それとも、
「私は、この性格だから変われない」
と思ったでしょうか。
……。
同じ占いの言葉でも、人によって反応が違うかもしれません。
だからこそ、占いの結果そのものだけでなく、それを聞いた自分の中で何が起きているのかを考えることもできるんです。
三人の占い師に会っただけなのに、人間の認識の話になってしまいましたね。w
でも、それが今回の面白いところなんです。
よくある質問
Q. 西洋占星術・四柱推命・数秘術は、何が違うのですか?
西洋占星術は、出生時の天体の配置を使ってホロスコープを作ります。
四柱推命は、生まれた年・月・日・時刻を干支などに置き換え、命式を作ります。
数秘術は、生年月日や名前を使って数字を求め、その数字に象徴的な意味を与えます。
それぞれ、使う情報や記号、解釈の体系が異なります。
Q. 同じ人なのに、占いによって違う性格を言われるのはなぜですか?
占術ごとに、使っている情報や分類方法、解釈の規則が異なるためです。
また、同じ人でも、場面によって異なる行動をすることがあります。
ただし、占いの説明が実際の性格を正確に表しているかどうかは、別に確認する必要があります。
Q. 三つの占いで同じ結果が出たら、正しいということですか?
必ずしもそうではありません。
似た言葉が出てきたことと、その説明が実際に正確であることは、同じではありません。
正確さを確かめるには、何を予測したのか、どのように一致したのかなどを、独立して検証する必要があります。
Q. 違う占いの説明が、全部当たっているように感じるのはなぜですか?
一般的な性格の説明を自分に特別に当てはまるもののように感じるバーナム効果や、説明に合う経験を思い出しやすくなることなどが関係する場合があります。
ただし、実際に何が影響したのかは、個々の状況によって違います。
Q. 占いを、自分を知るために使うことはできますか?
占いで出てきた言葉をきっかけに、自分の経験や考え方を振り返ることはできます。
ただし、それは占術による性格判断の正確さが証明されたこととは別です。
そとがわメソッドでは、性格を一つの言葉で決めるよりも、実際の場面でどんな意味や反応が生まれ、なぜその行動が必要になっていたのかを観察します。
関連記事
ホロスコープとは?同じ誕生日でも読み方が違う理由と、出生図の仕組み
西洋占星術では、出生日時と場所から、どんな情報を使ってホロスコープを作るのでしょう。太陽星座だけでは分からない、出生図の仕組みを紹介します。
四柱推命でも使われる陰陽五行とは、どんな考え方なのでしょう。木・火・土・金・水の関係から、東洋思想を考えます。
誕生日を足した数字から、どうして性格についての説明が生まれるのでしょう。数秘術の計算方法と、数字に意味が与えられる仕組みを紹介します。
占いが当たっていると感じるのはなぜ?バーナム効果と人間の認識の仕組み
「当たっている!」と感じたとき、人間の中では何が起きているのでしょう。心理学の研究から、その不思議を考えます。
参考文献・資料
- 国立天文台 暦計算室「黄道十二宮」。国立天文台 暦Wiki
- 国立国会図書館「日本の暦|干支①六十干支」。国立国会図書館
- 国立国会図書館「日本の暦|第三章 暦の中のことば」。国立国会図書館
- Numerology.com「Life Path Number: How to Calculate and Its Meaning」。数秘術の計算方法・実践者側の解説
- Numerology.com「Your Name Numerology」。名前と数字の対応についての実践者側の解説
- 日本心理学会(村上幸史)「占いが当たっているように感じるのはなぜ?」『心理学ワールド』第38号(2007年)。日本心理学会
- American Psychological Association「Barnum effect」。APA Dictionary of Psychology
- Carlson, S.(1985)“A double-blind test of astrology.” Nature, 318, 419–425. 原著論文
※数秘術の説明には、その体系を紹介する実践者側の資料を使用しています。数字に割り当てられた性格的な意味が科学的に実証されたという意味ではありません。また、占星術に関する検証研究は、三つの占術すべてを直接検証したものではありません。
まとめ|同じ人でも、どこに注目するかで説明が変わる
今回、同じ架空の人物を、三つの占術から見てみました。
1990年4月25日。
午前9時。
東京都生まれ。
この情報は、最初から最後まで変わっていません。
でも、西洋占星術では、天体の配置を使いました。
四柱推命では、干支や陰陽五行を使いました。
数秘術では、生年月日から数字を求めました。
そして、それぞれの体系では、違う意味が与えられています。
さて、何が変わったのでしょう。
本人が変わったわけではありません。
変わったのは、どんな方法で分類し、どんな基準で説明したのかという部分です。
そして、もう一つ。
その説明を聞いた本人が、自分についてどう考えるかが変わる場合もあります。
「私は安定を大切にする人なんだ」
と思うかもしれません。
「私は変化に対応できる人なんだ」
と思うかもしれません。
「私は表現することが好きなんだ」
と思うかもしれません。
でも、それらの説明を知ったからといって、そのとおりに生きなければならないわけではありません。
そして、説明が違うからといって、自分が矛盾した人間になったわけでもありません。
ただ、自分についての新しい言葉に出会ったんです。
その言葉をきっかけに、自分の経験を振り返ることもできます。
あるいは、その場で何が起きていたのかを観察することもできます。
「私はこういう性格です」という説明と、「私はそのとき、なぜそうする必要があったのでしょう」という問いは、別のものです。
だからこそ、人間の仕組みを知るということは、一つの性格の名前を知ることだけではないんですね。
三つの占いを比較していたはずなのに、いつの間にか「そもそも自分って、何だろう?」という問いまで出てきました。
……。
占い師が3人いたら、疑問も3倍に増えましたね。w
でも、それも知ることの面白さなのかもしれません。
人間の認識と反応の仕組みを、もっと知りたい方へ
私たちは普段、自分について、さまざまな説明を持っています。
「私は、こういう性格だから」
「私は、こういう人間だから」
そんな言葉を使うことがあります。
そして、その説明によって、安心することもあれば、苦しくなることもあります。
例えば、占いで、
「あなたは慎重な人ですね」
と言われました。
そこで、
「そうなんだ」
と思いました。
でも、そのあと、
「慎重な私は、なかなか行動できない」
という意味が加わったとします。
さらに、
「行動できない自分は、ダメな人間なのかもしれない」
と思ったとします。
さて、その間で何が起きていたのでしょう。
そとがわメソッドでは、出来事と色づけ、一次反応や二次反応、その後の行動などを分けて観察します。
性格を無理に変えるためではありません。
自分の感じ方を否定するためでもありません。
なぜ、その意味が生まれたのか。なぜ、その反応や行動が必要になっていたのか。
その仕組みを知るためです。
無料講座では、こうした人間の認識と防衛反応について、日常の具体例から順番に見ていきます。
悩みを抱えている方だけでなく、人間の仕組みそのものに興味がある方にも、楽しんでいただける内容です。
登録は不要です。
興味があれば、0時間目から自由にご覧ください。

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