「あの言い方、嫌だったかな」
「返信が短かったけど、何か気に障った?」
「さっき少し表情が変わった気がする」
「本当は迷惑だったんじゃないかな」
相手と別れたあとも、LINEを送ったあとも、会話が終わったあとも。
相手が何を思ったのかを何度も考えてしまう。
「考えても分からない」と頭では分かっているのに、なかなか終われない。
そんなことはないでしょうか。
人の気持ちを考えられること自体は、悪いことではありません。
相手の立場を想像できるからこそ、気づけることもあります。
ただ、考えることをやめたいのにやめられないほどになっているなら、
「人の気持ちを考えすぎる自分をどう直すか」ではなく、「なぜ、分からない相手の気持ちを考え続ける必要があるのか」
を見てみると、少し違うものが見えてきます。
相手の気持ちは、直接見ることができない
たとえば、LINEを送ったあとに、
「了解」
とだけ返信が来たとします。
ここで実際に確認できる出来事は、
相手から「了解」という文字が送られてきた。
というところまでです。
でも、私たちが経験するのは、それだけとは限りません。
「いつもより短い」
「冷たい気がする」
「怒っているのかもしれない」
「さっき送った内容がまずかった?」
「嫌われたのかもしれない」
と、相手の内側についての推測が加わることがあります。
もちろん、本当に怒っている可能性もあります。
何も気にしていない可能性もあります。
忙しくて短く返しただけかもしれません。
この時点では、相手に確認しない限り分かりません。
ところが、自分の中では、
「相手から『了解』と返信が来た」
という出来事と、
「相手は怒っているかもしれない」
という推測が、必ずしも別々には経験されません。
いつの間にか、
「相手が怒っている」
というひとつの現実のように感じられることがあります。
「考えすぎないようにしよう」で終わらないことがある
人の気持ちを考えすぎて疲れていると、
「考えても仕方ないよ」
「相手の気持ちは相手の問題だよ」
「気にしすぎない方がいいよ」
と言われることがあります。
それで楽になるなら、それで構いません。
実際、考える時間を減らしたり、別のことに意識を向けたりすることで楽になることもあります。
でも、
「考えても分からないことくらい、自分でも分かっている」
という人もいるのではないでしょうか。
分かっているのに、また考える。
「気にしない」と決めても、相手の表情が少し変わると気になる。
LINEの返信が遅くなると、また理由を探し始める。
ここで、
「私は考えすぎる性格だから」
だけで終わらせずに、もう少し細かく見てみます。
「人の気持ちを考えすぎる」が起きるまでを分けてみる
たとえば、友人と話しているときに、こんなことがあったとします。
出来事:
自分が話したあと、相手が数秒黙った。
ここまでは、比較的観察しやすい部分です。
そこに、
「今の話、嫌だったかな」
「変なことを言ったかもしれない」
という意味が加わる。
すると、
「相手を不快にさせたかもしれない」
「このままだと嫌われるかもしれない」
という予測が起こるかもしれません。
胸がざわつく。
身体が緊張する。
不安になる。
そして、
「大丈夫?」
と確認したくなる。
さっきの発言を説明し直したくなる。
別れたあとも会話を思い返す。
相手の表情や声のトーンを何度も思い出す。
ここまで来ると、本人が経験しているのは単に、
「相手が数秒黙った」
ではありません。
いくつもの処理を経たあとに出来上がった、
「私は相手を不快にさせたかもしれない」
という現実です。
では、なぜ答えが出ないことを考え続けるのか
ここで少し問いを変えてみます。
「どうすれば人の気持ちを考えなくなる?」
ではなく、
「なぜ今、相手の気持ちを知る必要があるんだろう?」
です。
相手が怒っているかどうかが分かれば安心できる。
嫌われていないと分かれば安心できる。
自分が何か悪いことをしたのか分かれば、修正できる。
関係が悪くなる前に対処できる。
そう考えると、
相手の気持ちを推測することは、ただ自分を苦しめるために起きているとは限りません。
その人の中では、
「分からないままにしておくより、何が起きているのか分かった方が安全」
になっていることがあります。
だから考える。
そして答えが出ないから、また考える。
「相手の気持ちが分からない」が問題になるまで
ここでもう一つ見てみたいことがあります。
相手の気持ちは、本来、分からないことがあります。
これは人間関係では珍しいことではありません。
でも、
「分からない」
という状態に、
「何か悪いことが起きているかもしれない」
「このままでは危ない」
「早く確認しなければいけない」
という意味が加わると、
ただ分からないだけだったものが、放っておけないものになります。
すると、
相手の気持ちを考えることが必要になります。
つまり、
「人の気持ちを考えすぎる」だけを見るより、「なぜ分からないままではいられなくなったのか」を見た方が、その人の中で起きていることが分かる場合があります。
人の気持ちを考えない人になる必要はない
ここまで読むと、
「じゃあ、人の気持ちは考えない方がいいの?」
と思うかもしれません。
そういう話ではありません。
考えたければ考えていい。
相手を気遣ってもいい。
確認したければ確認してもいい。
実際に相手の様子がおかしいと判断して、距離を取ることだってあります。
そとがわメソッドで見たいのは、
「人の気持ちを考えるのは正しいか、間違っているか」ではありません。
自分の中で、
「相手が黙った」
から、
「嫌だったのかもしれない」
「嫌われるかもしれない」
「何とかしなければ」
までが、どう出来上がったのか。
そこが見えないままだと、
出来上がったあとの不安を何とかすることだけを繰り返すことがあります。
「相手は怒っている」が間違いだと言いたいわけではない
事実と推測を分ける話をすると、
「でも、本当に相手が怒っていることもあるよね」
と思うかもしれません。
もちろんあります。
大切なのは、
「相手は怒っていない」と考え直すことではありません。
「相手から『了解』と返信が来た」
「私は、それを見て『怒っているのかもしれない』と感じた」
この二つを分けて見られることです。
そのうえで、
「やっぱり怒っていると思う」
と判断しても構いません。
確認することもできます。
何もしないこともできます。
認知を疑えることは、判断できなくなることではありません。
自分には今こう見えている、と分かったうえで選べる。
その余地ができるということです。
「考えすぎる自分を直す」から少し離れてみる
人の気持ちを考えすぎていると、
「もっと自分軸にならなきゃ」
「他人を気にしないようにならなきゃ」
「考えすぎる癖を直さなきゃ」
と思うこともあります。
それが役立つなら使って構いません。
ただ、
「人の気持ちを考えすぎる私はダメ」
まで加わると、
今度は、
考えすぎた自分を監視する
という仕事が増えることがあります。
だから、まず直そうとする前に、
「また考えているな」
「何が分からないと困るんだろう」
「私は今、何が起きると予測しているんだろう」
と見てみる。
考えすぎる自分をやめさせるのではなく、
考え続ける必要がどこで生まれたのかを見る。
そこが、このテーマでの観察点になります。
無料講座では「出来上がったあと」ではなく、その前を見ていきます
人の気持ちを考えすぎて苦しいとき、
「どうすれば考えなくなるか」
を探したくなることがあります。
無料講座では、その答えを増やす前に、
実際に何が起きたのか。
そこにどんな意味が加わったのか。
何が起きると予測したのか。
その結果、どんな反応や行動が必要になったのか。
を分けて見ていきます。
人の気持ちを考えない人になるためではありません。
自分の中で、どうやって「今の現実」が出来上がっているのかを見るための入口です。
よくある質問
Q. 人の気持ちを考えすぎるのは、優しすぎるからですか?
そうとは限りません。
相手を気遣うことと、相手の気持ちを何度も推測し続けることは、同じとは限らないからです。
「相手を大切にしたい」という場合もあれば、「嫌われたくない」「怒らせたくない」「何が起きているか分からないと不安」など、別のものが動いている場合もあります。
原因を一つに決めるより、自分の場合は何を予測して、何を避けようとしているのかを見る方が具体的です。
Q. 本当に相手が怒っている場合も、気にしなくていいのでしょうか?
気にしない方がいい、という話ではありません。
実際に怒っている可能性もありますし、相手の言動に対応する必要がある場合もあります。
「相手が怒っているかもしれない」という自分の認識と、「実際に確認できていること」を分けて見ることで、必要なら確認する、謝る、話し合う、距離を取るなどを選びやすくなります。
Q. 相手の気持ちを想像するのをやめた方がいいですか?
やめる必要はありません。
想像することそのものが問題なのではなく、
想像したものが、そのまま確定した現実になっていないか
を見ることがポイントです。
想像したうえで「そうかもしれないし、違うかもしれない」と置いておける場合と、「きっとそうだ」となって対応せずにはいられない場合では、自分の中で起きていることが違います。
Q. 考えすぎないようにする方法を使ってはいけませんか?
使って構いません。
気分転換をする、考える時間を区切る、相手に確認するなど、それで楽になるなら役立つ方法です。
ただ、それを繰り返しても同じ場面で何度も苦しくなるなら、
「どう止めるか」だけでなく、
「なぜ今、考え続ける必要があるのか」
を見る余地があります。
関連記事
まずは無料講座から
「相手の気持ちを考えすぎないようにする」
という新しい目標を増やす前に、
まず、
何が実際に起きたのか。
自分はそこに何を加えたのか。
何が起きると予測したのか。
その結果、何をする必要が生まれたのか。
を分けてみます。
そとがわメソッドの無料講座0時間目では、ここから「人間が現実を経験する仕組み」を見ていきます。
今まで学んできたことを捨てるためでも、正しい考え方に直すためでもありません。
自分の中で起きていることを、自分で見られるようになるための入口です。


そとがわメソッド開発者。心理学・自己啓発・潜在意識などを学んでも自己否定が終わらなかった自身の経験から、「自分を変える前に、何が起きているのかを見る」そとがわメソッドを開発。著書『自分を否定しない練習』。
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