同じ失敗を繰り返すのはなぜ?反省しても同じ行動に戻ってしまう仕組み

「次は絶対に断ろう」

そう決めていたのに、また仕事を引き受けてしまった。

自分の仕事だけでも手いっぱいだったのに、頼まれた瞬間、

「大丈夫です」

と答えていた。

あとになって、

「またやってしまった」

と思う。

前にも同じことがあった。

そのときも、引き受けすぎて大変だった。

だから今回は、ちゃんと断ろうと決めていた。

断ってもいいことは分かっている。

何と答えればいいかも考えていた。

それなのに、実際に頼まれた瞬間には、いつもと同じ返事をしてしまう。

こんな経験はありませんか。

断れないことに限らず、言いすぎてしまう、謝りすぎてしまう、確認しすぎてしまうなど、何度も繰り返している行動があるかもしれません。

ここで、少し不思議なことがあります。

もう繰り返さないと決めたはずなのに、なぜその場では同じ行動を選んでしまうのでしょうか。

反省が足りなかったのでしょうか。

意志が弱かったのでしょうか。

それとも、その行動が必要になる何かが、毎回起きているのでしょうか。

目次

反省したことと、次に違う行動ができることは別

失敗したと感じたとき、人はその出来事を振り返ります。

「どうしてあんなことをしたんだろう」

「次はこうしよう」

「今度こそ気をつけよう」

原因を考え、改善策を決める。

それ自体は、役立つことがあります。

たとえば、書類の提出期限を忘れていたなら、カレンダーに登録する仕組みを作れば防げるかもしれません。

確認する項目が抜けていたなら、チェックリストが役立つこともあるでしょう。

ただ、同じように反省しているのに、なかなか変わらない行動もあります。

「断っていい」と分かっているのに断れない。

「怒らなくてもいい」と思っているのに、同じ場面で強い言葉が出る。

「そんなに謝らなくていい」と理解していても、相手の表情が変わると反射的に謝ってしまう。

これらは、方法を知らないからとは限りません。

その場で何が起きているのかが、反省しているときには見えていない可能性があります。

断ろうと決めたのに、引き受けてしまう場面

たとえば、職場での出来事を考えてみます。

昨日、同僚から仕事を頼まれて引き受けた結果、自分の仕事が終わらなくなりました。

帰宅してから、

「無理なときは断ろう」

と決めました。

次の日、また同僚から、

「これ、お願いできる?」

と言われた。

その瞬間、

「断ったら嫌な顔をされるかもしれない」

という考えが浮かんだとします。

相手が不機嫌になるかもしれない。

協力的ではないと思われるかもしれない。

これから仕事がしにくくなるかもしれない。

そんなことを予測すると、身体が少し緊張するかもしれません。

そして、

「大丈夫です」

と答えた。

仕事を引き受けると、その場で断る必要はなくなります。

相手の嫌な反応を見ることも、とりあえず避けられたかもしれません。

その瞬間は、引き受ける方が楽だった可能性があります。

でも、あとになって仕事が増えると、

「また断れなかった」

と思う。

ここで注目したいのは、帰宅して反省している自分と、実際に頼まれた瞬間の自分では、見えている問題が違うかもしれないということです。

帰宅しているときには、仕事を引き受けすぎたことが問題だった。

でも頼まれた瞬間には、断ったあとに相手がどう反応するかが問題になっていた。

本人にとっては、仕事を増やさないことより、相手の反応を避けることの方が、その瞬間には必要だったのかもしれません。

繰り返している行動にも、役割があることがある

私たちは、同じ失敗を繰り返すと、

「また間違った行動をしてしまった」

と考えがちです。

でも、その行動をしている瞬間には、何かを得たり、避けたりしている可能性があります。

頼まれた仕事を引き受けることで、断ったあとの不安を避ける。

相手に何度も謝ることで、関係が悪くなるかもしれないという不安を和らげる。

何度も確認することで、間違いを見落とすかもしれないという不安を軽くする。

どれも、あとから振り返ると「やりすぎた」と感じるかもしれません。

でも、その場では必要な行動として感じられていた可能性があります。

もちろん、同じ行動がいつも不安から生まれるわけではありません。

単に習慣になっている場合も、環境や仕事の仕組みに問題がある場合もあります。

ただ、その行動によって何を避けられたのかという視点から見ると、繰り返す理由が少し違って見えることがあります。

「次はやめよう」だけでは、同じ場面で困ることがある

先ほどの例に戻ります。

帰宅してから、

「次は断ろう」

と決めた。

その決意自体は本物だったのでしょう。

でも、次に頼まれたとき、

「断ったら嫌われるかもしれない」

という予測が出てきたらどうでしょうか。

その瞬間、本人にとっては断ることが危険に感じられるかもしれません。

すると、前日の決意を覚えていても、断るのが難しくなります。

これは、決意が嘘だったという話ではありません。

決意したときには問題になっていなかったことが、実際の場面では問題になっている可能性があります。

そして、引き受けることでその不安が軽くなれば、次も同じ行動を選びやすくなることがあります。

こうした反応と行動の関係は、学習や行動心理学の観点からも考えることができます。

ただ、そとがわメソッドで特に見たいのは、行動を変える技術そのものではありません。

なぜ、本人にはその行動を取る必要があるように感じられたのか。

その必要性がどのように生まれたのか、という部分です。

頼まれると断れないのはなぜ?「断っていい」と分かっていても断れない理由では、実際に頼まれた瞬間の反応を詳しく扱っています。

「またやってしまった」のあとに起きること

同じ行動を繰り返したあと、もう一つの反応が起きることがあります。

「なんで私はいつもこうなんだろう」

「何度も反省しているのに」

「本当に成長しないな」

最初は、仕事を引き受けたことを振り返っていたはずです。

でも、いつの間にか、自分自身の評価になっている。

仕事を断れなかった。

だから、自分は意志が弱い。

また同じことをした。

だから、自分は成長していない。

このように、実際の行動から自分全体への判断が広がることがあります。

さらに、

「こんな自分を変えなければ」

と思う。

そして、また決意をする。

次に同じ場面で反応が出ると、再び自分を責める。

こうして、最初の行動だけでなく、自分を評価することまで繰り返される場合があります。

ここでは、失敗したことに対する反応と、その反応をした自分への判断が重なっています。

そとがわメソッドでは、この二つを同じものとして扱いません。

同じことを繰り返すとき、本当に毎回同じことが起きている?

ここで、あなた自身の経験を一つ思い出してみてください。

「また同じことをしてしまった」

と思う行動はありますか。

では、その行動をした直前には、何が起きていたでしょうか。

たとえば、誰かに何かを頼まれた。

相手の表情が変わった。

自分の意見を求められた。

間違いを指摘された。

そんな出来事があったかもしれません。

次に、その出来事を受け取ったとき、何を考えたでしょう。

「断ったら嫌われる」

「言い返したら怒られる」

「失敗したら信用を失う」

「ここで謝らないと、関係が悪くなる」

そのような予測があったかもしれません。

そして、身体や感情が反応した。

落ち着かなくなった。

緊張した。

怖くなった。

そのあと、いつもの行動をした。

これを分けてみると、「同じ失敗」という一つの言葉の中に、いくつもの出来事や反応が含まれていることが分かります。

しかも、毎回まったく同じだったとは限りません。

相手も、場所も、状況も違っていたかもしれません。

それでも、似た意味や予測が生まれることで、同じような行動が必要に感じられた可能性があります。

「失敗を繰り返している私」は、いつ出来上がったのか

何度も同じような経験をすると、

「私はいつもこうだ」

と思うことがあります。

でも、本当にいつもでしょうか。

たとえば、仕事では断れないけれど、家族には断れるかもしれません。

ある人の前では自分の意見を言えないけれど、別の人の前では言えるかもしれません。

同じ人間なのに、場面によって違う行動をしていることがあります。

だとしたら、

「私は断れない人間だから」

という説明だけで、その行動のすべてを説明できるでしょうか。

繰り返しているのは、自分の性格そのものではなく、ある場面で必要になる反応や行動なのかもしれません。

もちろん、個人に比較的安定した行動傾向があることまで否定するわけではありません。

ただ、その傾向がどのような状況で現れるのかを見ずに、すべてを性格として扱ってしまうと、実際に起きていることが見えにくくなる場合があります。

「私はこういう人間だから」は本当に性格?自己イメージが作られる仕組みでは、自分についての判断がどのように自己イメージになるのかを扱っています。

反省や改善をやめる必要はない

ここまで読むと、

「じゃあ、反省しても意味がないの?」

と思うかもしれません。

もちろん、そんなことはありません。

反省が役立つ場合も、具体的な改善策が必要な場合もあります。

仕事の手順を見直す。

断る言葉を用意しておく。

確認する仕組みを作る。

必要な支援を求める。

こうした方法で、実際に行動を変えられる場合もあります。

そとがわメソッドは、それらの方法を否定するものではありません。

ただ、方法を知っていても同じ行動を繰り返すとしたら、その場で別の必要性が生まれているかもしれません。

その必要性が見えないまま、

「もっと頑張ろう」

「もっと気をつけよう」

と決意を増やしても、同じところに戻ることがあります。

さらに、改善できない自分を責めるなら、改善そのものが新しい負担になることもあります。

だから、方法を増やす前に、自分の中で何が起きていたのかを見るという選択肢があります。

同じ行動に戻ってしまう、その一瞬に注目する

最初の場面に戻ってみましょう。

仕事を頼まれた。

断ろうと思っていた。

でも、頼まれた瞬間に「大丈夫です」と答えた。

この間に、一体何が起きていたのでしょう。

相手の言葉を聞いた。

断ったあとの反応を予測した。

その予測によって、不安や緊張が生まれた。

その反応を避けるために、引き受けることが必要になった。

そういう流れがあったのかもしれません。

ただ、本人には、こうした過程が一つずつ見えているとは限りません。

「断れない」

という一つの現実として経験していることがあります。

そして、あとから、

「またやってしまった」

と判断する。

そとがわメソッドが見ているのは、この一連の仕組みです。

出来事に意味が加わる。

予測が生まれる。

身体や感情が反応する。

その反応から、必要な行動が決まることがある。

さらに、その行動をした自分を評価する場合もある。

それぞれは、一つの経験として感じられていても、同じものではありません。

この違いが見えると、「また同じ失敗をした」という結論だけでは分からなかったことが見えてきます。

同じことを繰り返す自分を、直すべき存在にしなくてもいい

人間は、経験をもとに反応し、行動します。

以前役に立った行動を、別の場面でも使うことがあります。

その結果、今の状況には合わない行動が出てくる場合もあります。

だからといって、過去にその行動が必要だったことまで否定する必要はありません。

また、今も同じ行動をする自分を、ダメな人間だと決める必要もありません。

自分が何を危険だと感じ、何を避けようとし、どんな行動が必要になったのか。

それが分かれば、現実の状況を確認しながら、別の行動を選ぶ余地が生まれることがあります。

もちろん、実際に危険や不利益がある環境なら、無理に行動を変える必要はありません。

相手や環境への対応を考えることも、大切な選択です。

目指すのは、何があっても正しい行動を取れる人になることではありません。

自分が経験している現実の仕組みを知り、反応に従うことしかできなかった状態から、選べる余地を見つけることです。

「分かっているのに同じことをする」仕組みを知りたい方へ

何度も反省した。

方法も考えた。

今度こそ変えようと決めた。

それでも、実際の場面では同じ反応が出てくる。

そんなとき、必要なのは新しい正解を覚えることだけとは限りません。

目の前で何が起き、どんな意味や予測が加わり、何を避ける必要が生まれているのか。

その仕組みを見ることもできます。

そとがわメソッドの無料講座では、出来事と意味づけ、予測、感情や身体の反応、そこから必要になる行動を分けながら説明しています。

よくある質問

Q. 同じ失敗を繰り返すのは、学習能力が低いからですか?

必ずしもそうではありません。

知識や方法を理解していても、実際の場面で強い不安や予測が生まれると、以前と同じ行動を選ぶ場合があります。

ただし、失敗の種類によって原因は異なり、知識不足や環境、仕事の手順などが関係する場合もあります。

Q. 反省しても変わらないなら、反省しない方がいいのでしょうか?

そういう意味ではありません。

反省によって具体的な改善点が分かることもあります。

ただ、行動の直前にどんな反応が起きているかを見ずに、結果だけを振り返っている場合には、同じ場面で困ることがあります。

Q. 同じ行動を繰り返してしまうのは、過去の経験が原因ですか?

過去の経験や学習が関係する場合はありますが、それだけで決まるとは限りません。

現在の環境や相手の行動、実際に起きている問題も関係します。

特定の過去を原因だと決める前に、今の場面で何が起きているのかを確認することができます。

Q. 自分の反応が分かれば、同じ失敗をしなくなりますか?

仕組みが見えることで、新しい選択肢に気づける場合はあります。

ただし、それだけで必ず行動が変わるという保証はありません。

必要に応じて、練習や環境調整、周囲の協力などを組み合わせることもできます。

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まずは無料講座から

同じ失敗を繰り返した。

また、いつもの行動をしてしまった。

そう感じたとき、私たちは結果だけを見て、自分を評価することがあります。

でも、その行動が生まれる前には、何かを予測し、身体や感情が反応し、その行動が必要になっていたのかもしれません。

そとがわメソッドでは、こうした一連の仕組みを分けて見ていきます。

自分をもっと厳しく管理するためでも、失敗しない人になるためでもありません。

自分の中で何が起きているのかを知り、そこから選べる余地を見つけるためのものです。

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この記事を書いた人

そとがわメソッド開発者。心理学・自己啓発・潜在意識などを学んでも自己否定が終わらなかった自身の経験から、「自分を変える前に、何が起きているのかを見る」そとがわメソッドを開発。著書『自分を否定しない練習』。
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